犬がくわえた物を離さない理由
犬がくわえた物をなかなか離さないのは、飼い主さんなら一度は経験したことがあるかもしれません。
お気に入りのおもちゃや骨をくわえて、ずっと離さない姿に困ってしまうこともありますよね。
場合によっては唸ったり、最悪噛んでしまうこともあるため、注意が必要です。
しかし、犬が物を離さないのにはちゃんとした理由があります。
犬の心理や本能が関係しているため、無理に取り上げようとすると逆効果になってしまいます。
今回は、犬がくわえた物を離さない原因や、正しい対処法について解説していきます。
愛犬との信頼関係を深めるためにも、ぜひ知っておきたいポイントをまとめましたので、チェックしてみてください。
そもそも犬はなぜ物を離したがらないのか?
犬が物を離さないのには、いくつかの理由があります。
まず、本能的に「これは自分のものだ」と思っていることが多いです。
野生の犬であれば、食べ物を確保することは生きるためにとても重要です。
そのため、一度手に入れたものを守ろうとする習性が今でも残っているのです。
また、おもちゃやおやつをくわえたまま離さないのは、それを「宝物」と思っているからかもしれません。
特にお気に入りのおもちゃや、飼い主さんからもらったおやつは、犬にとって特別なものです。
無理に取ろうとすると、「取られてしまう」と感じ、不信感を抱いてしまうことがあります。
さらに、単純に遊びの一環という場合もあります。
飼い主さんが「ちょうだい!」と言うと、犬は「遊んでいるのかな?」と勘違いすることがあるのです。
その結果、楽しくなってしまい、余計に離さなくなってしまうことがあります。
狩猟本能が影響? くわえたら放したくない心理
犬の祖先はオオカミです。
そのため、狩猟本能がDNAにしっかりと刻まれています。
獲物を仕留めたら、それを確保し続けるのが当たり前だったため、本能的にくわえたものを手放したくないのです。
特に「大好きなおもちゃ」や「おいしいおやつ」を持っているときは、その本能がより強くなります。
飼い主さんが「ちょうだい」と言っても、犬は「これは私の獲物だから絶対に渡さない!」という気持ちになってしまうことがあります。
この心理を理解せずに、無理に引っ張ったり奪おうとすると、「取られたら終わりだ」と学習してしまいます。
そうなると、さらに執着が強くなり、次からはもっと頑なに守るようになってしまいます。
そのため、正しい方法で対処することが重要です。
遊びと所有欲の違いを見極めよう
犬が物を離さないとき、それが「遊びなのか」「本気で守っているのか」を見極めることが大切です。
遊びの場合は、犬の表情が楽しそうだったり、しっぽを振っていたりします。
この場合、「取られるのが楽しい」と思っている可能性が高いです。
しかし、耳を後ろに倒したり、唸ったりしている場合は要注意です。
この行動は、「絶対に取られたくない!」という強い所有欲のサインです。
無理に取ろうとすると、噛まれてしまうこともあるため注意が必要です。
犬の表情や行動をよく観察することで、遊びなのか本気で守ろうとしているのかを判断できます。
遊びの範囲であれば、トレーニングをすればスムーズに離せるようになりますが、強い執着がある場合は慎重に対処する必要があります。
離させようとすると噛む? 飼い主のNG行動
犬がくわえた物を離さないときに、飼い主さんがやりがちなNG行動がいくつかあります。
例えば、無理やり口から引っ張ることです。
これは犬にとって「奪われた」と感じるため、余計に執着心が強くなってしまいます。
また、「離しなさい!」と大声で怒るのも逆効果です。
犬は「怒られて怖い」と感じるか、「取られないようにもっと守らなきゃ」と思うかのどちらかです。
どちらにせよ、ますます物を離さなくなる可能性が高くなってしまいます。
正しい対処法としては、「交換作戦」を使うのが効果的です。
おもちゃやくわえた物よりも魅力的なオヤツを見せて、「これと交換しよう!」と誘導します。
そうすれば、犬は「離したら良いことがある」と学習し、無理なく手放すようになっていきます。
犬がおもちゃを持ってくるけど離さないのはなぜ?
犬がボールやおもちゃを持ってくるのに、いざ取ろうとすると離さないことがあります。
「持ってきたのだから渡すつもりなのでは?」と思うかもしれませんが、犬の気持ちは少し違います。
遊びの一環としてやっている場合もあれば、「これは自分の宝物だから簡単には渡したくない」と思っていることもあります。
この行動には、犬の性格や本能、さらには飼い主さんの接し方も影響しています。
愛犬がなぜ持ってくるのに渡さないのか、その心理と対処法を知っておきましょう。
「取ってこい」が好きな犬とそうでない犬の違い
「取ってこい!」という遊びは、犬にとって楽しい運動の一つです。
しかし、すべての犬がこの遊びを好むわけではありません。
好きな犬と、そうでない犬にはどんな違いがあるのでしょうか?
まず、「取ってこい」が好きな犬は、遊びの中で飼い主さんとやり取りするのが楽しいタイプです。
特に、ボール遊びやおもちゃを使ったゲームが好きな犬種は、すぐにボールをくわえて持ってきて、また投げてもらうのを待ちます。
一方で、あまり好きではない犬は「取るのは楽しいけど、渡したくない」と思っていることが多いです。
つまり、遊びというより「獲物を捕まえた」気分になっているのです。
こういった場合は、無理に「持ってこい」をやらせるよりも、違う遊び方を試す方がよいでしょう。
くわえたまま離さないのは楽しいから?
犬が持ってきたおもちゃを離さない理由の一つに、「これが楽しい!」という単純な気持ちがあります。
特に、飼い主さんが「ちょうだい!」と言うたびに引っ張りっこになったり、追いかけっこが始まったりすると、犬にとって「この遊びは楽しい!」と感じてしまいます。
犬はシンプルな生き物なので、「取られる→逃げる→飼い主さんが追いかける」という流れをゲームだと思っていることが多いのです。
そのため、くわえたまま逃げ回るのが楽しくて仕方なくなってしまいます。
こういった場合は、ただ「離せ!」と言うだけでなく、他の方法で自然に手放させることがポイントになります。
飼い主の反応で犬の行動が変わる?
実は、犬がおもちゃを離さない理由には、飼い主さんの反応が大きく関係していることがあります。
「おもちゃを持ってきたのに、なぜか取られそう」と思うと、犬はますます守ろうとしてしまいます。
例えば、毎回「ちょうだい!」と言った後に、おもちゃをすぐに片付けてしまうと、「持ってきたら遊びが終わってしまう」と学習してしまいます。
そうなると、「じゃあ渡さない!」と考えるようになってしまうのです。
犬が安心しておもちゃを手放せるようにするためには、「取られたら終わりではなく、また遊べる」と思わせることが大切です。
そのためには、おもちゃを交換したり、一度渡したらすぐに返してあげる練習をするのが効果的です。
遊びのルールを作るとストレスフリーに!
犬とおもちゃ遊びをするときは、ルールをしっかり作っておくと、飼い主さんも愛犬もストレスなく楽しむことができます。
まず、「ちょうだい」や「離せ」のコマンドをしっかり教えておくことが重要です。
これができるようになると、引っ張りっこをしなくてもスムーズにおもちゃを回収できます。
また、取ったらすぐに片付けるのではなく、別のおもちゃと交換することを習慣にするとよいでしょう。
「離したらいいことがある」と学習することで、犬も安心して手放せるようになります。
さらに、「持ってこい」の遊びが終わるタイミングも重要です。
「犬が飽きるまで投げ続ける」よりも、「もう少し遊びたいな」と思うくらいのタイミングで終わらせる方が、犬の満足度が上がります。
犬がおもちゃを離さないときに唸る理由
犬がおもちゃをくわえたまま唸ると、少し怖いと感じることがあるかもしれません。
「怒っているの?」とか「噛まれるかも…」と不安になる飼い主さんも多いでしょう。
しかし、犬が唸る理由は一つではありません。
本気で「取られたくない!」と思っている場合もあれば、「遊びの一環」として唸ることもあります。
そのため、犬の気持ちを見極めることが大切です。
ここでは、犬がおもちゃを離さないときに唸る理由や、正しい対処法について解説します。
唸るのは怒っている? それとも遊びの一部?
犬が唸る=怒っていると考えがちですが、実はそうとも限りません。
唸る理由には、大きく分けて2つのパターンがあります。
1つ目は、本気で「これは渡さない!」という防衛本能です。
おもちゃや骨を「自分のもの」と強く認識しており、取られそうになると警戒して唸るのです。
特に、食べ物やお気に入りのおもちゃに対する執着心が強い犬は、このタイプが多いでしょう。
2つ目は、「遊びの一部」としての唸りです。
犬同士でじゃれ合うときにも、うなり声を出しながら遊ぶことがあります。
特に、引っ張りっこをしているときに「うぅ〜!」と唸るのは、遊びに夢中になっている証拠です。
顔が楽しそうだったり、しっぽを振っている場合は、怒っているのではなく、単に楽しくなっているだけの可能性が高いです。
おもちゃを取ろうとすると逆効果?
犬が唸っているときに、無理やりおもちゃを取ろうとするのは絶対にNGです。
逆に執着心が強くなってしまい、次からはもっと頑なに守るようになってしまいます。
特に、引っ張りっこをしているときに突然おもちゃを奪おうとすると、犬は「もっと力を入れて守らなきゃ!」と思ってしまいます。
これは、人間が「大事なものを落としたくない」と思ったときに無意識に力を入れてしまうのと同じ心理です。
そのため、唸っているときに無理に奪うのではなく、違う方法で「おもちゃを渡す=良いことがある」と学習させるのが大切です。
唸ったときの正しい対応とNG行動
犬がおもちゃをくわえたまま唸るとき、どう対応すればよいのでしょうか?
逆効果にならないために、正しい対処法とNG行動を確認しておきましょう。
◎ 正しい対応
- まずは、犬の気持ちを観察する(遊びなのか、本気なのかを見極める)。
- おもちゃを取るのではなく、別のものと交換する(おやつや別のおもちゃなど)。
- 「ちょうだい」や「離して」のコマンドを使い、スムーズに手放す練習をする。
- 興奮している場合は、一旦落ち着かせる。
× NG行動
- 無理やり引っ張って奪おうとする(執着が強くなる原因に)。
- 大声で怒る(恐怖を感じて、さらに警戒してしまう)。
- 手を突っ込んで無理やり口を開けさせる(噛まれる危険が高まる)。
犬の性格によっても対応は変わってきますが、基本的には「安心して手放せる環境を作る」ことが重要になります。
トレーニングで「離して」コマンドを習得させよう
犬が安全におもちゃを離せるようにするには、「離して」のコマンドを教えておくのが最適です。
このコマンドができるようになると、「おもちゃを持ってくるけど離さない」といった問題もスムーズに解決できるようになります。
ステップ①:まずは交換から
犬がくわえているものを無理に取るのではなく、より魅力的なおやつや別のおもちゃを見せて、「こっちと交換しよう!」と誘導します。
これを繰り返すことで、「離す=良いことがある」と学習するようになります。
ステップ②:「離して」のコマンドを言う
交換するときに「離して」や「ちょうだい」と声をかけて、コマンドを覚えさせます。
最初はおやつと交換しながら、徐々に言葉だけで離せるようにしていきます。
ステップ③:ごほうびを忘れずに!
離したらすぐに「いい子だね!」と褒めて、おやつをあげましょう。
これを続けていくと、「ちょうだい」と言われたら素直に手放すようになっていきます。
このトレーニングをコツコツと続ければ、おもちゃを持ってくるけど離さない問題も解決できるはずです。
愛犬との信頼関係を築くためにも、焦らずじっくり取り組んでみましょう。
犬がおもちゃや骨を取られるのを嫌がる理由
犬が骨やおもちゃを守ろうとするのは、ほぼ本能的な行動です。
「これは自分のものだ!」と強く思っているため、簡単には手放しません。
しかし、その背景には「狩猟本能」「過去の経験」「飼い主との関係性」など、さまざまな要因が影響しています。
ここでは、なぜ犬がおもちゃや骨を取られるのを嫌がるのか、その理由と対策について詳しく解説していきます。
狩猟本能? それとも過去の経験が影響?
犬が骨やおもちゃを守るのは、狩猟本能が関係していることが多いです。
野生の犬であれば、食べ物を確保することは生きるために必要不可欠なことでした。
そのため、一度手に入れたものを守ろうとする習性が、今でも犬の本能として残っているのです。
また、過去に「取られた経験」があると、さらに執着が強くなることもあります。
特に、子犬の頃に無理におもちゃを奪われることが多かった犬は、「取られる前に守らなきゃ!」と考えるようになってしまうことがあります。
そのため、犬が安心して「離しても大丈夫」と思える環境を作ることが大切です。
取られるのが嫌な犬とそうでない犬の違い
おもちゃや骨を守る犬もいれば、あっさり手放す犬もいます。
この違いはどこにあるのでしょうか?
✔ 守る犬 → 狩猟本能が強い・過去に取られた経験がある・飼い主に不信感を持っている。
✔ 手放す犬 → 飼い主との信頼関係ができている・「離して」のコマンドを覚えている・交換の習慣がある。
結局のところ、犬が安心して「手放しても大丈夫」と思えるようにすることが大切です。
そのためには、日頃からのトレーニングと信頼関係の構築が必要になります。
信頼関係を築けばスムーズに渡してくれる?
犬が「おもちゃや骨を取られても平気!」と思えるかどうかは、飼い主さんとの信頼関係が大きく影響します。
信頼関係ができている犬は、「この人になら渡しても大丈夫」と思うため、すんなり手放してくれることが多いです。
しかし、関係がしっかりできていないと、「この人、いつも取るだけじゃん! 渡したくない!」と感じてしまうことがあります。
そのため、日頃から「取られるのではなく、交換する」「手放したら良いことがある」という習慣を作ることが大切です。
交換トレーニングを繰り返すことで、犬も少しずつ「離すことに対する抵抗」をなくしていくことができます。
いきなり無理やり取るのではなく、「おもちゃを渡しても大丈夫」と思えるような接し方を心がけましょう。
おもちゃの種類を変えると行動が変わることも!
実は、おもちゃの種類を変えるだけで、犬の「離さない!」という行動が改善されることがあります。
例えば、くわえやすいおもちゃは、犬がずっと持っていたくなる傾向があります。
一方で、投げて遊ぶ系のおもちゃ(ボールなど)は、「持ってきて離す」という流れを作りやすいです。
さらに、噛みごたえのあるおもちゃ(ロープやコングなど)を与えると、引っ張りっこやガジガジすることに夢中になりやすくなります。
しかし、こういったおもちゃは執着が強くなりやすいので、トレーニングの仕方によっては「離すのが難しくなる」こともあります。
もし愛犬がおもちゃを全然離さない場合は、おもちゃの種類を見直してみるのも良い方法です。
遊びのスタイルに合ったおもちゃを選ぶことで、「離すこと」に対する抵抗を減らせるかもしれません。
まとめ
犬がくわえた物を離さない理由には、本能・遊び・不安・過去の経験など、さまざまな要因が関係しています。
しかし、だからといって無理に取り上げるのは逆効果です。
むしろ、犬の執着心を強くしてしまう可能性があります。
そのため、犬には「手放すことが楽しい!」「離したらいいことがある!」と学習させることが大切です。
交換トレーニングを取り入れたり、信頼関係をしっかり築いたりすることで、スムーズに手放せるようになります。
また、犬の遊び方やおもちゃの種類によっても、離しやすさが変わることがあります。
「なかなか離さない」と悩んでいる場合は、おもちゃ選びや遊び方を見直してみるのも良いでしょう。
最終的に大切なのは、犬とのコミュニケーションと安心感です。
「くわえたら離さない!」から「離しても大丈夫!」へと、少しずつシフトできるように、焦らずトレーニングしていきましょう。
※合わせて読みたい「犬がおもちゃを離さない主な理由」
コメント