近所に「犬の眼科医院」なる病院ができました。随分ニッチな病院だなあ、と思いましたが、犬の寿命もどんどん伸びているので、これからは「動物病院」では なくて、人間の病院のように専門化していくのでしょうね。
1. 犬はピンぼけの世界を見ている
人間に比べて様々な優れた身体能力を持つ犬ですが、視力は悪いのです。
0.3暗い。人間の場合であれば裸眼で普通免許は取れません。
なぜか? 人間は目が正面を向いていますね。だから焦点を合わせやすい。でも犬は目が人間と比べると外側にあり、正面に焦点をあわせにくいのです。
この配置になっているのはもちろん狩猟能力のためで、視野でいうと、犬は270度まで見えるのです。これなら自分の後ろになにがいるのか、確認できますよね。人間はもちろん180度までしか見えないのですね。
また、動体視力も優れています。静止した物体より、動いている物体のほうがよく見えるそうですよ。それってどんな感じでしょうねえ。
2. 暗闇では人間より見える
人間にはない器官として犬の目には「タぺタム層」を持っています、これは鏡のように光を反射する器官で、この「タぺタム層」によって犬は光の少ない暗闇でも物体を把握することができます。
しかし、逆にこの「タぺタム層」が光を拡散してしまうために、人間より視力が低いのです。
犬は網膜の構造が人間と違い、色を認識することがほとんどできません。ほぼ、青から黄色の間のグラデーションにしか見えていないのです。
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3. 犬はモノクロームの世界を見ている
我々はとてもカラフルな世界に生きていますが、犬はそうではありません。網膜の仕組みが人間と違い、色を認識する力をほとんど持っていません。限られた色しか認識できないのですね。認識できるのは青色と黄色、そしてその2色の間のグラデーションだけです。また、彩度も人間より低いため、全体的にグレーがかって見えています。
そのような特性から赤と緑の色の認識は難しく、緑の絨毯の上の赤いおもちゃなどは見にくいと思います。黄色のおもちゃやボールがよく識別できて迷わないのじゃないでしょうか。もしかすると、今までより反応がよくなるかもしれませんね。
実はこの犬の視界のことをドラマにした漫画があります。
清水玲子さんの「秘密2巻」です。
「秘密」は人間の死後、僅かな時間有効だとされる脳に残された記憶を科学技術を使って読み取るSF。
2巻ではひき逃げされた子供の脳にアクセスしようとするのですが、この子が全盲。アクセスしても生前の視界は見えません。そこで、同時にひき逃げされた子供の愛犬の脳にアクセスするのです。
その犬の視界の描写がモノクロームだと描かれているのです。
設定の特異さ加減もすごいですが、このときの犬がずっと見ているものを知ると滂沱の涙ですよ。犬の視界のことを話題にしたものは、私はこれ以外に知りません。面白いです。
4. 犬の目の形は3種類
犬ってつぶらな瞳ですよね。「つぶらな瞳」の「つぶら」とは「円ら」と書きます。つまり目が丸くてくりっとした状態の瞳のことですね。切れ長の目などには使わない表現だそうですよ。
犬がつぶらな瞳だなと思うのは、犬の目にほとんど白目がないからじゃないでしょうか。もちろん犬にも白眼はあるのですが、面積が小さく、眼球のほとんどが黒眼でできています。黒目は丸いですから、黒目がちということはつぶらに見えるんじゃないかなと思います。
とはいえ、犬の眼の形は、大きく分けると、アーモンド型・三角型・丸型の3種類があります。それぞれの犬種も記すと
アーモンド型の犬
ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバーなど
三角型の犬
柴犬などの日本犬
丸型の犬
パグ、シーズー、チワワなど
です。丸型のパグは「だよねー」って感じで納得です。
5. 代表的な犬の目の病気
結膜炎
細菌感染や、外からの刺激、アレルギーなどが原因で結膜の血管が充血して赤くなり、涙の量が増えます。
目の変化には気づきにくく発見しづらいことがあります。
両目の場合は他の疾患を併発していることもあります。
獣医師に相談しましょう。目の周りをカットし眼球を傷つけない処置をしてくれます。
角膜炎
角膜炎は、目の傷や目やにの放置が原因のひとつ。また、日差しの強いところにいることでも発症しやすくなります。細菌感染や、アレルギーなども原因に。涙や目ヤニが多くなり、痛みで目が開けられなくなります。悪くなると目が白く濁ってきます。
緑内障
眼球内の眼圧が上がることで、犬の目が飛び出してくる病気。激しい痛みを伴うため頭をなでられることを嫌がったり、視野が狭まります。眼圧の上昇が長く続くと失明する可能性もあり、速やかに眼圧を下げることが重要です。急性の場合は痛みが強く、目が充血し、眼球が大きくなります。
完治することはできませんが、眼圧を抑える目薬や飲み薬はあります。
手術を行うこともあります。
白内障
目のレンズに当たる水晶体が、混濁する病気。進行すると大理石の模様のようになり、失明します。白く濁ることで目が見えにくくなり、物にぶつかったりジャンプができなくなったりします。老年性、先天性、遺伝、外傷などの他、糖尿病などからの併発もあります。
6. まとめ
犬の目からの世界、ちょっと驚きますね。
そんな世界でじっと飼い主を見つめていますからね。より愛しく感じてしまいます。犬の目を大事にしてあげましょうね。ちょっと異常を感じたらすぐに獣医師に診てもらいましょう!
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