ターンスピットドッグ「産業革命」が殺した犬 絶滅した犬種

恐竜の骨 どんな犬か調べてみた
  1. ターンスピットドッグとは?
    1. ターンスピットドッグの定義
    2. 歴史的背景
    3. 名前の由来
    4. 現代での認知度
  2. ターンスピットドッグの特徴
    1. 外見と体型
    2. 性格と行動特性
    3. 他の犬種との違い
    4. 飼育環境と適応性
  3. ターンスピットドッグの役割と用途
    1. 料理における活用方法
    2. 他の作業での応用
    3. 歴史的な使用例
    4. 現代での役割
  4. ターンスピットドッグの歴史と進化
    1. 起源と初期の役割
    2. 時代とともに変化した役割
    3. 絶滅の要因
    4. 現代における再評価
  5. ターンスピットドッグにまつわるエピソード
    1. 有名なターンスピットドッグの物語
    2. 文学や芸術での描写
    3. コレクターたちの情熱
    4. ターンスピットドッグに関連するイベント
  6. ロースター以外にもこんな犬力機械
    1. 犬力バター攪拌機(Dog-powered Butter Churn)
    2. 犬力洗濯機(Dog-powered Washing Machine)
  7. そのほかの絶滅した犬種
    1. 絶滅の定義
    2. 絶滅の主な原因
    3. 絶滅犬種の歴史的背景
    4. 絶滅犬種の影響と遺産
  8. 有名な絶滅犬種
    1. クライズデール・テリア
    2. サザン・ハウンド
    3. タルボット・ハウンド
    4. コルドバ・ドッグ
  9. 絶滅危惧の犬種の例
    1. オッターハウンド(Otterhound)
    2. スカイ・テリア(Skye Terrier)
    3. ニュージーランド・ハンタウェイ(New Zealand Huntaway)
    4. イングリッシュ・フォックスハウンド(English Foxhound)
  10. なぜ絶滅危惧になるのか?
    1. 目的の喪失
    2. 人気の偏り
    3. 遺伝的問題
    4. 法律や文化の変化
  11. まとめ

ターンスピットドッグとは?

犬を使った肉焼き機

ターンスピットドッグという犬種をご存じでしょうか。
現在では絶滅してしまったものの、かつてはキッチンで肉を焼くための重要な役割を担っていました。
回し車の中で走り続けることで串を自動回転させ、料理の仕上がりを均一にするという、まさに「働く犬」の代表格です。
産業革命以前のイギリスでは、こうした使役犬が多くの家庭や施設で活躍していました。
歴史的に興味深い存在でありながら、現在では剥製として博物館に展示されているのみという点も、ターンスピットドッグの特異性を物語っています。
ここでは、この不思議な犬種について詳しく掘り下げていきましょう。

ターンスピットドッグの定義

ターンスピットドッグ(Turnspit Dog)とは、主に16世紀から19世紀にかけてイギリスで活躍した使役犬の一種です。
名前の「Turnspit」は、肉を焼く際に回転させる道具「スピット(Spit)」を回す役目をしていたことに由来します。
彼らの仕事は、キッチンに設置された回し車の中で走り続けることで、串を回転させ、肉を均等に焼くことでした。
この特殊な仕事のために品種改良され、胴長短足で力強い前足を持つ体型になったとされています。
まさに「走るために生まれた犬」と言えるでしょう。

歴史的背景

ターンスピットドッグの歴史は16世紀にさかのぼります。
イギリスの家庭やレストランでは、当時の料理の中心にロースト料理がありました。
しかし、串を手で回し続ける作業は過酷だったため、人間の代わりに犬を使うアイデアが生まれたのです。
バーナーペイターやスモークジャックなど、料理を効率化するための道具とともに、ターンスピットドッグはキッチンの一員として働いていました。
18世紀にはカール・フォン・リンネによって「カニス・ヴェルディグス(Canis vertigus)」という分類名も与えられました。
しかし、19世紀に産業革命が進み、新しい自動回転機械が登場すると、その役割は急速に失われていきました。

名前の由来

ターンスピットドッグという名前は、まさに彼らの仕事そのものを表しています。
「Turnspit」は、英語で「回転させる串」という意味を持ち、彼らが回し車を使って肉を焼くための串を動かしていたことから名づけられました。
ラテン語では「Vernepator cur(肉を回す犬)」とも記録されています。
この呼び名からも、彼らがいかにキッチンで重要な役割を果たしていたかがうかがえます。

現代での認知度

現在、ターンスピットドッグの知名度は決して高くありません。
絶滅した犬種ということもあり、一般的な犬種図鑑にもほとんど記載されていないのが現状です。
しかし、博物館や古い料理書に記述が残されており、ターンスピットドッグの存在を知ることができます。
特にイギリスの博物館には剥製が展示されていることもあり、歴史好きの間では一定の関心が寄せられています。

ターンスピットドッグの特徴

※画像 https://twitter.com/tenpurasoba4

ターンスピットドッグは、長時間の作業に耐えられるように特化した体型や性格を持っていました。
そのため、他の犬種とは異なる特徴を備えていたのです。

外見と体型

ターンスピットドッグの最大の特徴は、胴長短足という独特の体型です。
体は小型ながらも筋肉質で、特に前足が発達しており、長時間走り続けるための構造になっていました。
耳は垂れ、被毛は短く、色のバリエーションもさまざまでした。
また、一部のターンスピットドッグにはオッドアイ(左右で異なる色の目)を持つ個体もいたとされています。

性格と行動特性

ターンスピットドッグは非常に勤勉で、忍耐強い性質を持っていました。
長時間にわたって回し車を走り続けるため、持久力と集中力が必要だったのです。
また、作業を途中でやめないように訓練されていたため、非常に忠実で従順な性格だったとされています。
しかし、一方で労働環境は過酷で、ターンスピットドッグが虐待されていたという記録も少なくありません。

他の犬種との違い

ターンスピットドッグは、ほかの小型犬とは異なり、ペットとしての役割ではなく完全に作業犬として育てられていました。
たとえば、ダックスフントやウェルシュ・コーギーも胴長短足ですが、ターンスピットドッグはより筋肉質で機能的な体型をしていたのが特徴です。
また、ペットとしての愛玩性よりも、働くことを重視して育成されていた点が大きな違いです。

飼育環境と適応性

ターンスピットドッグは基本的にキッチンで飼われ、屋外で走り回ることはあまりありませんでした。
そのため、運動量は限られていたものの、仕事が終わるまで回し車の中で走り続けなければならず、厳しい環境に耐える適応力を持っていました。
また、狭い空間でも機能的に動けるように設計されており、小型でありながら力強い犬種でした。

ターンスピットドッグの役割と用途

ターンスピッドドッグ

ターンスピットドッグは、単なる愛玩犬ではなく、明確な仕事を持つ使役犬としての役割を果たしていました。
その用途は主にキッチンでの肉焼き作業でしたが、それ以外にもさまざまな場面で活用されていたようです。

料理における活用方法

ターンスピットドッグの主な仕事は、キッチンで肉を焼くための回し車を動かすことでした。
調理場の隅に設置された巨大な回し車の中を走ることで、串に刺さった肉を自動回転させ、均等に火を通す仕組みになっていました。
この方法によって、長時間にわたり人間が手作業で串を回す必要がなくなり、より効率的に調理を進めることができたのです。
まさに、ターンスピットドッグは当時の「キッチンアシスタント」として活躍していたのです。

他の作業での応用

ターンスピットドッグの活用は料理だけにとどまりませんでした。
たとえば、一部の地域では小型の発電機を回したり、水汲みのためのポンプを動かしたりするのにも使われたという記録があります。
産業革命以前の社会では、機械による自動化が進んでいなかったため、人間や動物の力を利用することが一般的でした。
ターンスピットドッグはその一環として、さまざまな手作業の負担を減らすために利用されていたのです。

歴史的な使用例

ターンスピットドッグの存在は、1576年に出版された文献『The Jewel House of Art and Nature』にも記述されています。
また、18世紀のイギリスの著述家ナチュラリストたちによる記録にも登場し、当時の貴族の家や大きなレストランでは必須の犬種だったことがわかります。
さらに、ターンスピットドッグはウェールズの博物館に剥製として展示されており、今でもその歴史を垣間見ることができます。

現代での役割

産業革命の進展により、ターンスピットドッグの仕事は徐々に機械に取って代わられました。
19世紀には自動回転式の肉焼き装置が登場し、犬がキッチンで働く光景は急速に減少していきました。
その結果、ターンスピットドッグは役割を失い、次第に絶滅してしまいました。
現在では、ターンスピットドッグの名を知る人も少なくなっていますが、歴史的な研究対象として関心を持たれることもあります。

ターンスピットドッグの歴史と進化

ターンスピッドドッグ

ターンスピットドッグは、時代の変遷とともに変化し、最終的には絶滅に至った犬種です。
その背景には、産業革命や生活様式の変化が大きく影響しています。

起源と初期の役割

ターンスピットドッグの正確な起源は不明ですが、16世紀にはすでにイギリスで活躍していたとされています。
カール・フォン・リンネによる分類「カニス・ヴェルディグス(Canis vertigus)」が示すように、当時の記録にもその存在が残されています。
彼らは、主に王族や貴族の館のキッチンで使われていましたが、やがて庶民の家にも広まっていきました。

時代とともに変化した役割

最初は料理の補助を主な目的としていましたが、ターンスピットドッグはほかの作業にも利用されるようになりました。
回し車を使った作業は、動力が必要な場面では広く応用されました。
しかし、18世紀以降になると、機械化が進み、ターンスピットドッグの役割は徐々に縮小していきます。

絶滅の要因

ターンスピットドッグが絶滅した最大の理由は、産業革命による技術革新でした。
特に19世紀に入ると、自動回転機能を備えた調理器具が登場し、犬を使う必要がなくなってしまいました。
また、虐待に近い労働環境にあったため、動物愛護の観点からも問題視されるようになりました。
その結果、ターンスピットドッグは徐々に飼育されなくなり、絶滅してしまったのです。

現代における再評価

現在では、ターンスピットドッグに関する資料や剥製が博物館に展示されており、歴史的な視点から再評価されることがあります。
また、彼らの働きぶりを再現する研究も進んでおり、かつてのキッチンの光景がどのようなものであったのかが解明されつつあります。

ターンスピットドッグにまつわるエピソード

ターンスピッドドッグ

ターンスピットドッグは、ただの労働犬ではなく、さまざまな物語や文化の中にも登場しています。
そのユニークな存在は、歴史の中にしっかりと刻まれているのです。

有名なターンスピットドッグの物語

イギリスのある王族の家では、ターンスピットドッグがあまりにも過酷な労働を強いられたため、日曜日になると教会に「逃げ込んだ」という記録が残っています。
彼らは仕事から解放される日を理解していたのでしょうか。
この逸話は当時の新聞にも取り上げられ、人々の間で話題になりました。

文学や芸術での描写

ターンスピットドッグは、18世紀や19世紀の文学作品にも登場することがあります。
特に風刺画や小説では、彼らが過酷な環境で働く様子が描かれ、当時の労働問題を象徴する存在として扱われていました。

コレクターたちの情熱

ターンスピットドッグに関する資料や剥製は、現在でも一部のコレクターの間で高い価値を持っています。
特に、当時のキッチンの様子を再現した模型や、ターンスピットドッグを描いた絵画は人気があります。
歴史的な背景を持つことから、収集の対象として興味を持たれることもあるようです。

ターンスピットドッグに関連するイベント

イギリスでは、歴史的な調理法を再現するイベントが定期的に開催されており、その中でターンスピットドッグが使われていたことが紹介されることもあります。
現在ではもちろん本物の犬を使うことはありませんが、回し車を再現した装置を使って、当時の料理方法を学ぶ試みが続けられています。

ロースター以外にもこんな犬力機械

人々は水力や風力など身近な動力を工夫して生活に取り入れていました。
その中でも興味深いのが、「犬力」を使った機械です。
犬たちがトレッドミルのような仕組みを歩くことで、家事や調理の一部を担っていたのです。
そんな犬力機械のなかから、ロースター以外の二つを紹介します。

犬力バター攪拌機(Dog-powered Butter Churn)

バターを作るには、牛乳から得たクリームを長時間撹拌しなければなりません。
これを手作業で行うのは大変な労力です。
そんな負担を軽減するために発明されたのが、犬の歩行によって撹拌機を動かす仕組みです。
1871年、ニューヨーク州ユーティカに住むH.M. Childsが、この装置の特許を取得しています。
装置は傾斜のある小さなトレッドミルと連結されており、犬が歩くことで回転動力が生まれ、バター攪拌機が動くという仕組みです。
主にアメリカ北東部の農家で使われていましたが、大規模に普及したわけではなく、限られた地域と期間での利用だったようです。

犬力洗濯機(Dog-powered Washing Machine)

続いては、今ではおなじみの洗濯機に、犬の力を応用した例です。
こちらも基本的な構造はトレッドミル型で、犬がひたすら歩き続けることで内部の撹拌や回転機構が動きます。
19世紀後半のアメリカで登場し、現在ではアメリカ・アイダホ州の「クリーン博物館(Museum of Clean)」などに実物が展示されています。
犬を使って洗濯機を動かすという発想自体が非常にユニークで、手動洗濯機に代わる“省力化”の一手として試されたようです。
とはいえ、こちらも広く普及することはなく、徐々に電力や蒸気による装置に取って代わられていきました。

犬の力を使ったこれらの装置は、機械化以前の「身近なテクノロジー」の好例といえるでしょう。
動物に依存する技術はその後衰退していきますが、今あらためて見ると、自然と生活を結びつけた創意工夫の歴史を感じさせてくれます。

そのほかの絶滅した犬種

絶滅犬種

犬は人類の最古のパートナーといわれるほど長い歴史を持っていますが、その中には絶滅してしまった犬種も少なくありません。
現在、世界中にはさまざまな犬種が登録されていますが、その影には人間の都合によって消えていった犬たちの存在があります。
では、そもそも「絶滅」とは何を指すのでしょうか。

絶滅の定義

「絶滅」とは、ある生物の個体が地球上から完全に姿を消してしまうことを指します。
つまり、その犬種の血統を持つ犬が一匹も存在しなくなった状態です。
現在でも絶滅危惧種としてリストアップされている犬種は多く、世界中の愛好家や畜犬団体が必死に保護活動を続けています。
ただし、純血種としては絶滅したものの、その遺伝子を他の品種に受け継いでいる場合もあります。
例えば、イギリスのサザン・ハウンドは絶滅しましたが、その血は現存するビーグルやハリアーに受け継がれていると言われています。
また、絶滅したと考えられていた犬種が再発見されることもあり、「絶滅」という定義には曖昧さが残ります。

絶滅の主な原因

犬種が絶滅する原因はさまざまですが、大きく分けると以下のようなものが挙げられます。
まず、人間の生活様式の変化が影響します。
例えば、狩猟犬として活躍していた犬種は、近代化によってその役目を失い、飼育する人が減少した結果、絶滅に追い込まれました。
また、戦争や経済的な問題により、特定の犬種の繁殖が困難になったことも理由の一つです。
さらに、品種改良によって新たな犬種が開発され、元の犬種が不要とされるケースもあります。
人間の好みによる影響も大きく、ショードッグとしての人気が低迷すると、個体数が減少し絶滅に至ることがあります。
例えば、ミニチュア・ブルドッグはかつて人気でしたが、他のブルドッグ種に取って代わられました。

絶滅犬種の歴史的背景

犬種の誕生と絶滅は、人間の文化と密接に関わっています。
例えば、18世紀から19世紀にかけて、イギリスでは狩猟文化が盛んになり、多くの狩猟犬が生まれました。
しかし、技術の進歩とともに狩りのスタイルが変化し、狩猟犬の需要が減少しました。
また、ブルドッグのように見た目の特徴を極端に強調する品種改良が進んだ結果、健康上の問題が増え、絶滅してしまった犬種もいます。
ターンスピットのように使役犬として働いていた犬種も、技術革新によってその役割を失い、消えていきました。
さらに、特定の地域にしか生息していなかった犬種は、環境の変化や疫病によって激減し、絶滅したケースもあります。

絶滅犬種の影響と遺産

絶滅した犬種の影響は、今もなお犬の世界に残っています。
例えば、クライズデール・テリアやサザン・ハウンドの血を受け継いだ犬種が現存し、彼らの遺伝子が現在の犬種の性格や能力に影響を与えています。
また、絶滅犬種の研究は、犬の進化や品種改良の歴史を知るうえで非常に重要です。
例えば、タルボット・ハウンドは絶滅しましたが、その血統は現在のビーグルやフォックスハウンドに受け継がれています。
また、博物館などで絶滅犬種の標本を見ることができ、その歴史や役割を知ることができます。
絶滅犬種の遺伝子を研究することで、現在の犬種の健康問題を改善するヒントが得られるかもしれません。

有名な絶滅犬種

絶滅犬種

歴史の中で消えてしまったものの、今でも名前が語り継がれている絶滅犬種を紹介します。
これらの犬種は、それぞれの時代や地域で独自の役割を持ち、人々と共に生きてきました。
しかし、環境の変化や人間の生活様式の変遷によって、次第に姿を消してしまいました。

クライズデール・テリア

クライズデール・テリアはスコットランド原産の犬種で、小型ながらも非常に勇敢な性格を持っていました。
19世紀には一定の人気があり、農場や家庭でネズミや害獣を駆除する役目を果たしていました。
しかし、他のテリア種との競争に敗れ、次第に姿を消していきました。
特に、より小型で扱いやすい犬種が登場したことで、クライズデール・テリアの需要は減少しました。
その後、20世紀には個体数が激減し、絶滅したとされています。
現在では、スコットランドの歴史を紹介する博物館などで名前が登場する程度となりました。

サザン・ハウンド

サザン・ハウンドはイギリスで狩猟犬として活躍していた犬種で、特にシカ狩りに優れた能力を持っていました。
低い声で吠える特徴があり、狩りの際に獲物を追い詰めるのに適していたと言われています。
しかし、狩猟のスタイルが変化し、より速く獲物を追い詰められるグレイハウンドなどの犬種が主流となると、その役目を終えることになります。
18世紀後半には頭数が大幅に減少し、19世紀には完全に絶滅しました。
ただし、ビーグルやハリアーなどの現在の狩猟犬の血統には、サザン・ハウンドの遺伝子が一部受け継がれていると言われています。

タルボット・ハウンド

タルボット・ハウンドは、白く美しい毛並みが特徴的な犬種で、紀元前から存在していたと言われています。
中世ヨーロッパでは貴族の間で飼われており、狩猟犬として重宝されました。
特にイングランドでは、タルボット・ハウンドを家紋にしていた貴族もいたほどです。
しかし、品種改良が進む中で、より優れた能力を持つ犬種が登場し、次第にその存在が薄れていきました。
19世紀には記録上から姿を消し、完全に絶滅したとされています。
現在、タルボット・ハウンドの姿を直接見ることはできませんが、その血統は現存するフォックスハウンドやビーグルに受け継がれていると言われています。

コルドバ・ドッグ

コルドバ・ドッグはアルゼンチンで闘犬として繁殖されましたが、攻撃性が高すぎたため、ペットとしての飼育が難しく、次第に姿を消しました。
19世紀後半から20世紀初頭にかけて、闘犬として圧倒的な強さを誇っていましたが、繁殖の際にも気性の荒い犬が選ばれたため、攻撃性がどんどん強化されました。
その結果、飼い主に対しても攻撃的になる個体が増え、家庭で飼育するのが困難になったのです。
また、闘犬文化の衰退も影響し、次第に個体数が減少しました。
最終的には、他の犬種との交配が進んだことで、純血のコルドバ・ドッグは絶滅しました。
現在では、アルゼンチン・ドゴという犬種の祖先として知られています。

※くわしくは「絶滅犬種 その原因は?

絶滅危惧の犬種の例

絶滅はしていないけれど、絶滅が危惧されている犬種もあります。その犬種と理由を紹介しましょう。

オッターハウンド(Otterhound)

オッターハウンドはイギリス原産の猟犬です。
カワウソ猟を目的として繁殖されてきましたが、この用途が失われたことで、飼育数が激減しています。
現在では世界中でわずか300〜600頭ほどしか確認されておらず、絶滅危惧種として扱われています。
繁殖を続けるには慎重な計画と専門的な管理が必要です。

スカイ・テリア(Skye Terrier)

スカイ・テリアはスコットランド原産の犬種で、かつてはヴィクトリア女王にも愛された歴史があります。
長い胴と豊かな毛並みが特徴的ですが、近年はその人気が低下し、飼育数が減っています。
イギリスでは年間登録数が50頭以下となる年もあり、危機的状況とされています。
保存のための取り組みが求められています。

ニュージーランド・ハンタウェイ(New Zealand Huntaway)

ニュージーランド・ハンタウェイは、羊の群れを吠えて追う能力に優れた牧羊犬です。
しかし近年では牧羊そのものの需要が減り、この犬種の役割が少なくなってきました。
また、他の犬種との交雑も進み、純血種としてのハンタウェイを維持することが難しくなっています。
地元では保存活動が行われていますが、個体数の減少は深刻です。

イングリッシュ・フォックスハウンド(English Foxhound)

イングリッシュ・フォックスハウンドは、キツネ狩りのためにイギリスで長く使われてきた犬種です。
しかし近年では狩猟文化の変化や動物愛護の視点から、キツネ狩りが行われなくなりました。
その結果、需要が激減し、繁殖も縮小傾向にあります。
保存活動が一部で行われていますが、注目度が高くないため支援も限られています。

なぜ絶滅危惧になるのか?

目的の喪失

猟犬や作業犬として使われていた犬種は、その役割がなくなると繁殖の必要性が失われてしまいます。
機械化や社会構造の変化により、犬の労働が不要になるケースが増えています。
その結果、特定の犬種が急激に姿を消すことがあります。

人気の偏り

一部の犬種に人気が集中すると、その他の犬種が忘れられがちになります。
流行やSNS映えなどの影響もあり、見た目や性格が「今っぽい」とされる犬に注目が集まりがちです。
そのため、魅力があっても知られていない犬種は自然と数を減らしてしまいます。

遺伝的問題

個体数が少なくなると、近親交配を避けることが難しくなります。
これにより健康な繁殖が難しくなり、遺伝病のリスクも高まってしまいます。
遺伝的多様性を保つには、世界中の繁殖者との協力が必要になります。

法律や文化の変化

動物保護法の改正や狩猟の禁止といった法律の影響で、従来の使役犬が不要になることがあります。
また、動物に対する倫理的な考え方の変化も、特定の犬種の飼育に対するハードルを上げることがあります。
こうした社会的な変化が、犬種の絶滅につながることもあるのです。

まとめ

ターンスピッドドッグ

ターンスピットドッグは、かつてキッチンで働いていた使役犬であり、産業革命とともに役割を終えたユニークな犬種です。
その特徴や歴史を知ることで、当時の人々の生活や技術の進化について深く考えるきっかけになるでしょう。

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