猫の髭は切ってはいけない。これはなんとなく皆さん知っている気がします。
猫の髭は「触毛」といいます。平衡感覚に役立ったり、狭い所が通れるかどうかを確かめたり、空気の流れながれから獲物の動きをつかんだりするなど、とても重要な器官なんですね。
一方、犬の髭はどうでしょうか?
トリミングサロンで「髭はどうします?」と聞かれた経験があると思いますが、どうしますって、どのようにしても良いものなのでしょうか?
1. 犬の髭は切ってもよいが、切る理由はない
結論から先に言ってしまうと、犬の髭は切っても構いません。構いませんというのは、切ってしまっても、猫の場合のように、髭を切ったことで犬が生活上困ることはないという意味ですね。
一方、犬の髭を積極的に切る意味もありません。強いて言えば、被毛のカットのデザインに合わせた、見た目の問題のようです。つまり「髭が短い方がかわいい」レベルの意味だと捉えてもいいですね。
ただし、他の感覚器官が正常に働いているうちは、ということですね。老犬になって目も霞んでくるような状況だと、髭に頼るという場合もあるそうです。その犬の状況によって考えたいですね。
また、犬の髭は目の上、顎の下、マズル付近に生えています。
犬は自分の顔まわりのものが見えにくく、死角となる部分の状況を判断することが苦手なのですが、髭を使って当たったものの情報を得たり、髭に何かしら触れた時に反射的に目を閉じて身を守ったりしていると言われています。
そう聞くと、あまり髭を切らないほうがよい気がしてきますね。
2. 犬の髭の役割
犬はその祖先が狼だったり、人間と暮らすようになっても狩猟のために用いられましたよね。
そのような状況で犬を使う場合は、髭という感覚器があったほうが茂みや藪のなかでより有利に動けるということがあるようです。
しかし、現在は家庭犬として飼われる場合がほとんどと考えると、ことさらに髭を残す必要もありません。また、犬の髭はしっぽ同様、感情が現れますよね。
興奮、緊張しているときは髭はピンと前向き、リラックスしていれば髭は下向きになりますよ。
とはいえ、嗅覚・聴覚・脚力などと比べると、髭の役割は多いとは言えません。犬本来の姿の名残と考えてよいのですが、見かけ上おかしくなければ、ことさらに切る必要もまたないですよね。
3. 犬の髭の切り方
やらないとは思いますが、髭を引っ張って抜いてはいけません。犬の髭の毛根は他の毛よりも2~3倍ほど深くなっていて神経と繋がっているため、痛感があります。更に出血したり、膿んだりする場合があります。
犬の髭のカットはなるべくトリミングサロンでお願いしたほうが良いです。
暴れまわる犬を抑えながらハサミなどの刃物を使うのは危険でもありますからね。それでも自分で切る場合は、ハサミで犬を傷つけないように犬の顔をしっかり固定してカットします。あまり根本で切ろうとして、皮膚を切らないようにしてくださいね。
4. 犬の髭のトラブル
白髪
歳を重ねていくうちに髭が白くなって行く場合は、老化ですよね。心配ありません。もし、そんな年齢でもないのに、白くなるだけではなく髭が曲がるように生えてきた場合、たんぱく質などの栄養不足の可能性も考えられます。
栄養のバランスが崩れると白髪の原因になるので、日頃の食事の栄養バランスには気をつけましょう。
髭の生え変わり
犬の髭は年に2回ほど生え変わるそうです。この場合は問題ありませんが、一気に抜けてしまった場合は皮膚病などの病気があるのかもしれません。動物病院に連れて行ってください。
髭の枝毛
よくみてみると、犬の髭に枝毛を見つけることがあります。犬が後ろ足で自分の顔回りをかいたときに髭にダメージを与えてしまうことが原因のようですね。枝毛自体は別に心配はありませんが、頻繁に顔をかくようなら皮膚病かもしれません。これも動物病院にかかってくださいね。
5. 犬の髭は切っても伸びてくる
そうなんですよ。犬の髭ってときには体の他の部分の被毛よりも早く伸びてきちゃうんですよね。そのまんま伸ばして行ったも亀仙人くらい伸びるのかということはなく、ある一定の長さまでしか伸びないようですけど。そして一定の長さに達すると抜け落ち、また新しい髭が生えてくるという新陳代謝なんですねえ。
6.まとめ
退化したといわれる犬の髭ですが、積極的にカットする理由もまたないんだということわかっていただけましたか? なるべくなら自然のままにいさせてあげたいですね。
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