いまではコンパニオンアニマルとして、人間の生活に深く入り込んだ犬は、人間が初めて家畜として飼育した動物でもあります。
約1万2000年前~3万5000年前の遺跡において、人間が居住していた住居跡や洞窟の中から犬の骨が見つかっているそうです。
それだけの歴史があると、なかには絶滅してしまった犬種もいるわけです。
もちろん何種類もいるのですが、その中でも非常に特徴的だった「ターンスピット」について調べてみました。
まずこの図をよくみてください。
※画像 wikipedia
上部の滑車の中に犬がいることがわかりますね。これが「ターンスピット」です。
滑車は肉を焼く機械につながっており、滑車を回すことで肉が上手に回転し、まんべんなく焼ける仕組みです。
彼らはハムスターのようにこの滑車の中に入れられ、走って回転させていたのです。
この作業はかなりの重労働だったため、各家庭では「シフト」を組んで働かせるために数頭の「ターンスピット」が飼われていたそうですよ。
使われるうちに、だんだんと足が短く踏ん張りやすいようになっていったそうです。
今から考えればひどい虐待なのですが、18世紀末のイギリスの大きな家ではどこでも飼われていたそうです。
この「ターンスピット」ですが、1900年に絶滅と記録されています。
なぜか?
それは18世紀半ばから19世紀にかけての「産業革命」によって自動回転式の肉焼き機(スモークジャック)が開発されたからです。
必要がなくなってしまったために、繁殖されなくなっていったのですね。
最後の犬「ウィスキー」は剥製として残されています。
※画像 https://twitter.com/tenpurasoba4
では日本ではどうか? 実は日本でも、10種以上の犬種が絶滅しているそうです。
最近、絶滅が心配された犬種としては「大東犬」がいます。
※画像https://ameblo.jp/eriko08081973/entry-11506921465.html
「大東犬」は1900年から開発が始まった大東諸島に移住者が持ち込んだものです。
写真を見ればわかりますが、プロポーションがユニークです。パーツは典型的な日本犬ですが、非常に足が短く、ガニ股です。ちょこちょことした歩き方が特徴のようです。
外部から隔絶した環境で近親交配を繰り返すことによりこの形になったのではないかと言われています。
他犬種との交雑が進んだことなどにより、純血種の大東犬の頭数は激減してしまい、南大東島内においては、2005年12月には5頭の高齢なオスのみしか確認できなかったそうです。
しかし、沖縄県名護市で純血種の繁殖に成功し、2014年10月9日の日本経済新聞の記事によれば、この記事の時点で、「50匹ほどまでに回復している」と報じられています。まだまだ予断を許さない規模なのでしょうが、とりあえず窮地は切り抜けたのでしょうか。