犬がフローリングを掘る理由と対策に関するQ&A
Q1. なぜ犬はフローリングを掘るの?
A
犬がフローリングを掘るのは、主に「巣穴づくりの本能」の名残です。
野生時代の犬は地面を掘って寝床を作っていました。
この習性が、室内犬にもそのまま残っており、クッションやベッドの上でも“ホリホリ”する様子が見られます。
とくに猟犬系の犬種では、この行動が強く出る傾向があります。
つまり、「ここに寝床を作るぞ!」という感覚で掘っていることが多いのです。
Q2. 掘る行動にストレスが関係することはある?
A
あります。
犬がフローリングを掘る原因のひとつに「ストレス」や「不安」があります。
留守番が長い、構ってもらえない、運動不足、そんなときに犬はガリガリと掘って気持ちを発散しようとします。
これは人間でいうと、イライラして貧乏ゆすりをするようなもの。
特に、夜中に掘る場合はストレス度が高い可能性があるので注意が必要です。
Q3. 掘ることでどんな被害やリスクがあるの?
A
犬のホリホリ行動は、床を傷つけるだけでなく、犬自身のケガやご近所トラブルにつながることもあります。
爪で削られたフローリングは修復が大変ですし、肉球がすりむけたり、爪が折れるおそれもあります。
さらに、滑りやすい床で転倒し、関節を痛める危険も。
夜間の音が響けば、家族や近隣とのトラブルになるケースもあるため、放置せず対策を考える必要があります。
Q4. 犬が掘る行動を見極めるポイントは?
A
観察がカギです。
掘るタイミング(就寝前や留守中)、テンション(楽しそうか無表情か)、使う足(前足のみか後ろ足もか)などをチェックしましょう。
また、おやつやおもちゃをくわえた後に掘るなら、それは「隠すつもり」の行動かもしれません。
愛犬のしぐさから、その意味を読み取ることが、効果的なしつけや対策の第一歩になります。
Q5. 掘る行動をやめさせるにはどうすればいい?
A
「やめさせる」というよりも、「掘ってもいい場所を作る」発想が効果的です。
たとえば、掘り専用マットや毛布で安全なゾーンを設けたり、おやつを隠す遊びで掘る本能を満たしてあげるとよいでしょう。
また、散歩や知育遊びでエネルギーや好奇心を消費させることも有効です。
叱るよりも、自然に行動を切り替える「置き換え」の工夫が、犬にも飼い主にもやさしい対応になります。
なぜフローリングを掘ろうとするのか
本能(寝床づくり)の名残
犬はもともと野生で地面を掘って寝床を作っていた動物です。
その習性が、現代の室内犬にもちゃっかり残っています。
つまり、フローリングをホリホリするのは「ここに穴掘って寝ようかな~」という、古き良き記憶の再現なんですね。
特に、クッションやベッドの上でも掘るしぐさをする場合、それはまさに「巣穴づくり」の名残です。
お気に入りの場所で、落ち着くために掘るというのは、犬にとってとても自然なこと。
ビーグルやテリア種のように猟犬系の犬種では、この行動が特に強く出る傾向があります。
ストレスや不安のはけ口
愛犬が、ひたすらフローリングをガリガリする…。
これ、じつはストレスや不安が原因になっているケースも多いです。
留守番の時間が長い、遊び足りない、構ってもらえない。
そんな「退屈&寂しいモード」に入ってしまうと、掘るという行為で気持ちを発散しようとするのです。
わたしたち人間が、イライラして机を指でトントンしちゃうような、あれに近いイメージですかね。
とくに夜中に掘るようになったら、ストレス度は要チェックです。
飼い主の反応を狙ったアテンションホリホリ
犬って、思ってる以上に賢いんですよ。
「掘ったら飼い主がこっち来てくれるぞ!」と学習してしまうと、それ以降、構ってもらうためにわざと掘るようになります。
これを「アテンションホリホリ」と呼びます(正式な用語ではありませんが、うちの犬ブログ界では有名)。
つまり、それは“無言のLINE通知”みたいなもの。
あなたの反応が嬉しくて、つい“通知連打”しているわけです。
可愛いけど、ちょっと困った問題でもありますね。
好奇心・遊び心の爆発
「なんかここから音がするかも?」
「匂いが気になる!」
そんなふうに、床下への興味からホリホリ行動が始まることもあります。
特に子犬や若い犬ほど、室内のものすべてが“遊び場”に見えてしまう時期です。
床の隙間やクッションの下、マットの端っこなど、犬にとっては“宝探し”スポットだらけ。
この行動は、いわば暇つぶし&探検欲のミックス。
だから放っておくと、ホリホリ→破壊→掃除地獄の三段活用に…なんてこともあるので注意が必要ですね。
フローリング掘りが引き起こす被害と危険
床材の傷と修復の難しさ
まず真っ先に現れるのが「フローリングの傷」。
愛犬の前足の爪でガリガリされた床は、見事にスジだらけになってしまいます。
特に無垢材ややわらかめのクッションフロアは、ほんの数回のホリホリでも跡が残ることがあります。
この「削れた跡」がどんどん深くなると、床材の張り替えという大仕事に発展することも。
さらに、木くずが飛び散ると掃除の手間もアップ。
床の素材やデザインにこだわっている飼い主さんにとっては、かなり痛い出費になりますね。
肉球・爪へのケガリスク
ついつい見逃しがちなのが、わんちゃん自身へのケガ。
フローリングって案外硬いので、掘っているうちに肉球をすりむいてしまうことがあります。
また、爪が長いままだと引っかかって折れるおそれもあるんです。
痛がる様子がなくても、小さな傷からばい菌が入ってしまうケースもあるため油断は禁物です。
定期的な爪切りと、肉球ケアはホリホリ癖のある犬にとって欠かせないルーティンになるでしょう。
滑ってケガの可能性アップ
ツルツルの床でホリホリされると、今度は滑って転ぶリスクが急上昇します。
とくに勢いよく掘り出すタイプのわんちゃんは、スリップして腰をひねったり、関節を痛めたりという事故にもつながりかねません。
フローリングの温度変化も影響していて、冬は乾燥して滑りやすく、夏は足裏が熱くなって動きが乱れやすくなることもあります。
犬種によっては椎間板ヘルニアになりやすい子もいるので、足腰に負担のかからない生活環境づくりが大切ですね。
家族や近所トラブルの種に
夜中にカリカリ…ガリガリ…ホリホリ……。
これ、静かな住宅街では結構な音になります。
「なんか隣の家からコツコツ聞こえる」と思われたら、もうそれは“フローリング騒音事件”のはじまり。
家族の安眠を妨げるだけでなく、集合住宅ではご近所トラブルにも発展しかねません。
ホリホリ行為を「ただの遊び」と侮らず、しっかりとした対策としつけが必要になるのではないでしょうか。
まず観察!犬が掘るときの行動チェックポイント
どのタイミングで掘る?(就寝前?留守中?)
まず注目すべきは「いつ掘ってるのか」です。
就寝前にベッドやソファをホリホリしているなら、それは寝床づくりの本能的行動かもしれません。
一方で、留守中にだけ掘るようであれば、それはストレスや不安のサイン。
タイミングによって掘る理由や対処法が変わってくるので、愛犬の行動をしっかり観察することが大切です。
防犯カメラやペットモニターで留守中の様子を録画するのもおすすめですよ。
掘り方は楽しそう?狂気?
掘ってるときのテンションにも注目してみましょう。
しっぽをフリフリしていたり、顔がにこにこしていたりするなら、それは“楽しい遊び”の延長線上。
でも逆に、無表情で同じ場所を延々と掘っていたら、ちょっと注意が必要です。
とくに無言で何度も同じリズムで掘っている場合は、常同行動や認知症の初期症状という可能性もあります。
愛犬のしぐさから、楽しさと異常行動の差を見極めることがポイントになりますね。
使う足(前足だけ?後ろ足も?)
犬が掘るとき、基本的には前足を使います。
ですが、まれに後ろ足で床を蹴るような仕草を見せることもあります。
これは「マーキングの名残」や「後片付け」の行動に近いともいわれています。
フローリングの一部だけを重点的に掘っているなら、匂いが気になる部分かもしれません。
そんな時は床を掃除して匂いを取り除くだけで、行動がピタリと止まることもあるのです。
食べ物やおもちゃを隠す仕草があるか
フローリングを掘るような仕草の直前に、おやつやお気に入りのおもちゃをくわえていませんか?
それ、実は「埋めようとしている」行動です。
野生の習性が残っている犬たちは、食べ物を“穴”に隠して、あとでこっそり食べるという本能があります。
室内には実際に土はありませんが、犬にとってフローリングも「仮想地面」。
ベッドやクッションの下に隠そうとしてホリホリしているというわけです。
そんな健気な姿に、ちょっとクスッとしちゃいますね。
対策その1:掘りたがる本能を活かす工夫
掘ってOKなコーナーを用意する
「掘っちゃダメ!」と毎回叱るのは、お互いにストレスがたまりますよね。
それならば逆転の発想で「掘ってもいい場所」を用意してあげましょう。
たとえば、ペット用の掘り専用マットや、土を入れた専用スペースなど、犬が安心して穴掘りできる環境を作るという方法があります。
室内ならクッション材でできた掘りマットがおすすめ。
わんちゃんの本能に寄り添った対応で、問題行動を“健全な趣味”に変えることができるのです。
毛布や古布で「ホリホリ専用」ゾーン設置
もっと手軽にできるのが、毛布や古布を重ねた「ホリホリゾーン」の設置です。
ソファやベッドの上に敷いておけば、掘られるべき場所とそうでない場所の区別がつきやすくなります。
このとき注意すべきなのは素材選び。
爪が引っかからない厚手の布や、丈夫でほつれにくいものを選びましょう。
また、犬がその場所を「お気に入り」と認識するまでには少し時間がかかるかもしれません。
でも、根気よく“ここならOK”というルールを教えることで、行動はどんどん改善されていきますよ。
おやつ隠しゲームで楽しく誘導
ホリホリ欲求と遊び心をミックスさせた「おやつ隠しゲーム」は、知育にもなる優秀な対策です。
布の中や毛布のシワにおやつを隠しておくと、犬は夢中で探し始めます。
これは、もともと獲物を探す習性に基づいた遊びなので、精神的な満足度も高いのです。
この方法なら退屈を感じにくくなり、ストレス発散にも効果抜群。
まさに“遊びながらしつけ”ができる一石二鳥の対処法ではないでしょうか。
本能刺激おもちゃ(知育系)で満足させる
最近では“知育系おもちゃ”が豊富に販売されています。
たとえば、内部におやつを仕込んで転がすと出てくるタイプのものや、掘る動作を再現できるマット型おもちゃなど。
こうしたアイテムは、犬の本能を刺激しながらも、家具や床にはまったく被害が出ない優秀アイテム。
「掘る=悪いこと」ではなく、「掘る=楽しい遊び」に変換することで、生活の中に自然に取り入れていくことが可能になります。
選び方のポイントは、犬種や性格に合ったものを見極めることですね。
対策その2:ストレス・遊び不足への対応
散歩時間・運動量の見直し
愛犬のホリホリ行動、もしかして“エネルギーが有り余ってるサイン”かもしれません。
室内ばかりで過ごしていると、身体も頭も退屈モードに突入しがちです。
まずは散歩の時間と距離を見直してみましょう。
小型犬でも意外と体力があり、30分程度では物足りないというケースもあります。
特に好奇心旺盛な犬種は、匂いを嗅いだり歩いたりするだけでストレスを発散できますから、散歩は“動くドッグセラピー”とも言えるのではないでしょうか。
知育玩具や宝探し遊びで頭を使わせる
体を動かすだけでは足りない場合、頭も動かす工夫が必要になります。
そこで活躍するのが知育玩具や「宝探しゲーム」。
フードやおやつを使って“匂いのヒント”を頼りに探させることで、犬の脳が活性化します。
実はこの「探す・見つける」という一連の流れが、犬の本能を満たし、掘る欲求にも効果的なのです。
とくに頭脳派タイプのわんちゃんは、単なる散歩よりもこうした遊びのほうが満足度が高かったりしますよ。
飼い主との遊び時間を増やす
何より大切なのは「一緒に過ごす時間」ではないでしょうか。
ホリホリ行動の裏には、「もっと構ってほしい」という飼い主へのラブコールが隠れていることがよくあります。
ただボールを投げるだけでもOK。
スキンシップのある遊びを日常的に取り入れることで、愛犬の心も満たされ、問題行動がグンと減ってくるでしょう。
これはまさに“最高のしつけ=愛情”ということかもしれませんね。
掘り行動を起こす前にそっと遊びを切り替え
ホリホリを始めそうなタイミングを見計らって、そっと遊びや別の行動に切り替えてあげる、という方法もあります。
これを「行動の置き換え」と呼びます。
たとえば、掘りそうになったらすぐにおもちゃを見せる、散歩に誘う、クレートで休ませるなど。
無理に叱らず、ナチュラルに別の行動に誘導するのがポイントです。
この「さりげなさ」が実はとても重要で、犬の気持ちを乱さずに対応できるやさしい方法と言えるでしょう。
まとめ
犬がフローリングを掘るという行動。
それは単なる“いたずら”ではなく、犬の本能や感情があらわれた大切なサインなのです。
巣穴づくりの名残であったり、ストレスの発散だったり、飼い主への愛情表現だったり。
理由を知れば知るほど、「なんで掘るの!?」が「そうか、そういう気持ちだったんだね」へと変わっていきます。
愛犬との生活において、問題行動はつきものです。
でも“問題”と見なすか、“対話”と捉えるかで、関係性も対策もまったく違ってきます。
床材を守ることも大事ですが、それ以上に大切なのは、わんちゃんの心の中を見つめることではないでしょうか。
散歩の量、遊びの質、環境の工夫。
それら一つ一つが、わんちゃんとの暮らしを快適にし、フローリングも心も健やかに保ってくれるヒントになります。
掘られた床の傷は直せますが、心のストレスは放っておくと大きくなるばかり。
だからこそ、行動の“意味”を理解して、うまく付き合っていく工夫が必要なんですね。
最後に大切なことをもう一度。
犬のホリホリは、本能であり、感情であり、コミュニケーションの一つ。
叱る前に、その理由を観察して、やさしく対応してあげてください。
きっと愛犬も、あなたを“心の床”として掘りたくなるほど信頼してくれるでしょう(比喩ですよ、比喩!)。
参考サイト(WTTP形式)
https://www.aeonpet.com/topics/pet-column_45.html
https://www.aikennoyuka.com/blog/why-do-dogs-dig-holes/
https://dog.benesse.ne.jp/withdog/content/?id=117222
https://wanchan.jp/osusume/detail/13996
https://aikenonline.jp/article/column/column_dpreparation/1942
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