犬がしゃべれたらなあ。犬好きなら誰でもこう思うものですね。お互いに言葉が通じなくてもあれだけ心が通い合うのだから、犬が人の言葉をしゃべれたらさぞかし・・と考えてしまいます。
でも実は犬の方はあなたとコミュニケーションを取ろうとしているのかも。愛犬のボディランゲージを見逃さないでくださいね。
まず何より大切なのは、犬は群れ社会の動物だってこと。そして群れには上下関係があり、リーダーは仲間から信頼させる存在でなければいけないのです。
人間社会にいる犬も同じです。リーダーにはつねに厳格な態度と、同時に信頼と安心感をあたえてくれる存在を求めます。
そう、飼い主は家族をまとめ、敵から守ってくれるリーダーなのです。
犬とうまくコミュニケーションをとるにはこの上下関係をベースにしながら、たくさんコミュニケーションをとること。これが大切です。そして犬はつぎのようなコミュニケーションが大好きです。
トレーニング中はもちろん、日常生活の中でたくさん褒めてください。どんな些細なことでも大げさに褒めてあげることが犬にとって嬉しいコミュニケーションになりますよ。
もちろん言葉は通じませんが、犬は飼い主に話しかけられることで、自分に注目してくれていると思うようです。犬に話しかけることで、犬が落ち着き、幸福を感じてくれます。
飼い主に触ってもらうことは犬の大きな喜びです。さらになでたり、マッサージされることも大好き。自分の家族に優しくなでられると、犬の心はとてもリラックスするのです。
そんな飼い主側からのコミュニケーションがまず大切なのですが、犬も気持ちを伝えようとしてくれています。こんなシーン、見たことないですか?
犬がしっぽを振っているのは可愛いですよね。
おお、そんなに喜んでくれているのか! とこちらも嬉しくなります。
そう、私達は犬がしっぽを振っていると「喜んでいる」と思っていますが、じつはちょっと違うようですよ。しっぽの役割から感情の表現までを知っておきましょう。
最近は少なくなっているとはいえ、断尾をする犬種がいます。うちのノーフォークテリアもすでに断尾された状態が初対面でした。
断尾してもいいならしっぽってあまり必要ないのかな? と思いますが、犬にとってしっぽはとても大切な部分なんですね。
しっぽは犬が走るときに下半身のバランスをとってくれるおもりの役割があります。しっぽによってバランスを取り、転倒を防ぐのです。
また、冬場に犬を見ていると丸まっていますよね。その時にしっぽで体をくるむ様子が見られると思います。(短いしっぽでは難しいですけど)これはしっぽで鼻先を保護して、冷たい空気を吸い込まないマスクのような働きをしているようですね。
そしてもちろん、相手に感情や意思を伝えるために使われるパーツでもあります。人間相手にブンブン振っているだけではなく、犬同士のコミュニケーションでも活躍しているのがしっぽなのです。
まず基本的に犬がしっぽを振るのは「興奮している」からであって、「よろこんでいる」かどうかは状況によるのです。
他人の犬がしっぽを振っているからといってむやみに体を触ろうとしてはだめですよ。がぶりとやられてしまうかもしれません。しっぽを振っているときの感情の読み取り方のコツは「しっぽの高さ・振るスピード」なのです。
しっぽを高く上げている
他の犬たちに自分の優位性を伝えようとする場合、しっぽは高く上がります。
犬の祖先である狼が集団で狩りを行うときに、後続の狼はリーダーとピンと高く上がったしっぽを目印にしていたそうです。
その名残から、他の犬より自分のほうが上だ!と主張する場合にしっぽを高く上げるようです。
群れで暮らす犬にとってリーダーであることはとても嬉しいことです。その気持が転じて嬉しいときや楽しいときにもしっぽは高く上がるようですね。
アニメーションの「ガンバの冒険」の主題歌で「しっぽをたてろ ホホホ ホホホ あほうどりがついていく」という歌詞があるのですが、自分と仲間をもりあげているんですね。劇中にも「しっぽを立てろ!」のセリフがやたらにありますが、意味がわかりましたよ。
しっぽを低い位置に下げている
まあ、見るからに、なのですが、犬がしっぽを低い位置に下げているのは、ネガティブな感情のときです。怖かったり、不安だったりするときですね。
両足の間にしっぽを挟んでいるのはその極地の状態だと考えましょう。
びくびく怖がっているからと甘く見ていると、恐怖のあまり反撃に出る犬もいますから気をつけてくださいね。
しっぽが水平の位置にあるとき
何かが遠くから近づいてきた、とか見たこともない場所だ、など警戒態勢のときや、興味関心を持ったときにしっぽは水平に置かれるようです。
しっぽのスピードが表すのは?
スピードが早いと「激しい気持ち」、ゆっくり振っているのは「穏やかな気持ち」と捉えられるみたいです。まあ見たとおりですかね。
しっぽは右か左か?
「犬が西向きゃ尾は東」ではなくて、右か左か? です。
ある研究によると犬が喜びや親しみなどポジティブな感情のときは体の右側でしっぽを振り、不安や恐怖などネガティブな感情のときには左側でしっぽを振る傾向があるそうです。
理由は、これは人間も同じですが、脳は左右に分かれていて、左脳はポジティブな感情、右脳はネガティブな感情とかかわっているとされて、左脳は体の右側に、右脳は左側に作用するからなんですね。これは「へー」ですよねー。
どうやら目が合わないときには犬の方にも事情があるようです。そんなときにはわたしのように躍起になって犬に指示を出してもダメです。まずは冷静に犬の気持ちを考えてみましょう。
犬は飼主が大好きです。大好きすぎてテンションが果てしなく上がっていくのですよね。
うちの犬も朝起きた後、朝食までのテンションが凄まじい。どこまでも興奮して倒れちゃうんじゃないかな? くらいにエキサイトしています。
でも、よくしつけされた犬にはそんなことはないらしく「目を逸らすことで」自分の興奮を抑えるそうです。
なんて賢い・・たしかに目を合わせなければちょっと冷静になれる気がしますね。
こんなときには犬の興奮が落ち着くの待ちましょう。
ちなみに朝ごはんを食べ終わると、憑物がおちたようによそよそしくなります、うちの犬は。
つまり、飼主に興奮しているというよりも「朝ごはん」に興奮しているのです。やれやれ。
何かイタズラをしていて壊してしまった、トイレに失敗してしまったなど「叱られるかもしれない」と犬が感じているときにも犬は目を合わせません。
「愛犬の失敗などたいして腹も立ちません」と思っていても、犬が怖がっているということは、叱ってしまった過去があるということです。今後はおおらかに許してあげましょう。
うちも50万からするソファの茶色の革が真っ白になるまで掘られたときには叱ってしまいましたが、結局本能なのでやめません。無駄です。
犬は叱られているときにも目を合わせないようです。そんなときは「自分が悪い」ことをわかっていて「ごめんなさい」と感じているときです。でも犬なので「ごめんなさい」と口に出して言えないんですね。当たり前ですが。犬を叱るときの鉄則は短く叱るです。ながなが説教しても犬なので理解できませんし、ずっと飼主の怒った怖い顔を見せ続けるのも信頼関係上良くないですよ。
短い時間できっちり叱って、あとは笑顔に戻ってあげましょう。
目を合わせなかったり、聞こえないフリなどをするのは動物病院やトリマーのところにいるときってことないですか? 犬は自分が苦手なことをやりたくないばかりに、指示を無視することがあるようです。
苦手といってもこれはやらないといけないですからね。獣医さんの診察室のドアの前で尻込みしても、強引にひきずっていきましょう。そのかわり治療や診察が済んだら大袈裟に褒めてあげてくださいね!
人間の場合を考えて欲しいのですが、自分よりも目上の人の目を凝視しますか? 一度目があってもそれは短時間ですぐに目を逸らしてしまうのではないでしょうか。
逆にずっと目を合わせ続けているのは「ガンつけている」状態なわけですから、何か気に入らないことがあるのか? と思われてしまいます。
犬も上下関係にうるさい動物ですから、飼主など自分より目上と思っている存在に対しては目を逸らすようです。それは人間同様「私はあなたと敵対するつもりはありませんよ」のサインなんですね。飼主に対しては服従の印ですが、自分より目上の犬にも目を逸らすこともあるようですよ。
「犬の目を見てはいけない」って聞いたことありませんか?
なんだか呪術めいた迷信かなにかのように聞こえますが、つまりは前の段落で行ったことの裏返しです。
初めてあった人間に目を合わせ続けられるのは、犬にとっては「ガンをとばされた」状態です。とくに目を見ながら正面から近づいていくアクションが脅威を与えます。犬が唸り出したら、体ごと横を向いて敵意がないことを示してあげましょう。犬はあなたのことを安全に観察しながら近づいてきてくれますよ。
犬だって初対面の人間には不安や心配の気持ちでいますから、そこに喧嘩のきっかけをわざわざ与えるなという教訓が「犬の目を見てはいけない」なんですね。
犬との信頼関係ができている場合は問題ないです。
飼主はもちろんですが、一度でもあったことがあったり、遊んでくれた相手であれば犬も警戒を緩めます。
逆に初めて会う犬の場合は慎重に行動してくださいね。
犬が目を合わせるとき、合わせないときそれぞれに意味があること、わかっていただけましたか? なんだかとても人間的で一層愛情を感じてしまいますね。理由がとても可愛いです。犬は本当に動物の中でも感情表現が豊かな存在なんだなあと改めて感心しちゃいますよね。
※詳しくは→犬が目を合わせない理由がかわいい 犬の目を見てはいけないのか?
以前「バウリンガル」というおもちゃが流行りましたよねー。
たしかに犬はいろいろな場面で鳴きます。
無駄吠えとは別に犬がどのように鳴くかで、だいたいの犬の気持ちを察してあげましょう。バウリンガルまではいかないでしょうがね。
大きく短い「ワン」
留守番をしていて、飼い主が帰ってきたときに尻尾をぶりぶり振りながら、そのように鳴きませんか?
これは嬉しくて鳴いているそうですよ。
低く短く「ワン」
耳を立てて、体を緊張させて、低く短く「ワン」と鳴く場合は「今していることをやめてほしい」と訴えています。
数回連続して野太く「ワンワンワン」
玄関のチャイムや、見知らぬ犬が家の前を横切ったときなどに、このように鳴きますね。危険を感じて周囲を警戒しています。
低く連続してまくしたてる「ワンワンワンワン」
吠えている対象に対して警告をしています。
「やめないと攻撃するぞ!」ですね。
低い唸り声が混ざるときは、一触即発の状態です。
鋭く短く「ワンワンワンワン」
これには飼い主は応えてはいけません。
飼い主なにかを要求するときにこのように鳴くからです。しつこく吠えてきますが、根負けして要求に答えると、このあとずっと吠えられることになります。
高い声で「キャンキャン」
これはおねだりの声です。先ほどと同様無視しましょう。答えてしまうと厄介なことになります。
足を踏まれたときなどに一回だけ甲高く鳴くことがありますよね。そのあと、足をひきづったりしていないか、よく観察しましょうね。
大きな声で「キャイーン」「キャンキャン」
犬が助けを求めている鳴き声です。すぐに様子を確認してください。
繰り返し鳴くようであれば、急いで動物病院へ連れていきましょう。
弱々しく鼻にかかったような「クーン」
怯えたようにしっぽを足の間に巻き、耳を垂らして「クーン」と鳴く場合、初めてのものや人に怯えています。
高く「クーン」
お腹を上にして服従のポーズをとりながら鳴きます。これは飼い主に対する服従のサイン。
低めの「クーン」は興奮している声
遊んでいるときに「クーン」と低く鳴くのは強く興奮しています。
甲高く鼻にかかった「クンクン」
飼い主に注目して欲しかったり、もっと自分を見て! などの場合にこのようにあたりを歩き回りながら鳴きます。
前のめりの体制で歯をむいて「ウーッ」
説明するまでもなく、威嚇しています。こういう場合は気をつけてください。噛みつかれる恐れもありますよ。
嫌なことをされて「ウーッ」
嫌なことをされたりしたときに警告の意味で唸ります。体を触られるのに慣れてない場合などに唸る場合もありますね。
なにか咥えながら「ウーッ」
おもちゃなどの引っ張り合いをしているとき、「ウーッ」とうなられたことはありませんか? これはおもちゃに対して「自分のものだ」と主張しています。
※詳しくは→子犬が吠える理由はなに?いつから?最良のしつけは飼い主の冷静な無視
あなたが外出から帰ってくると犬がお出迎えしてくれますよね。
その後あなたをくんくん嗅いでいませんか?
毎日一緒にいるのになんで改めてニオイを嗅いでいるのだろうと思いますよね? それは飼い主のあなたに外の世界のいろいろなニオイが付着しているためです。犬はそのニオイからあなたにあったことを知りたいと思っているのです。
だから邪魔したりせずに、相手が満足するまで嗅がせてやってくださいね。
また、飼い主がおならをしたときに、そのニオイを嗅ぎたがる犬もいます。人間にとってはおならやおしりを嗅がれることは恥ずかしくて困ってしまいますが、この場合も犬はいつもとは違ったニオイから、飼い主に何があったのかを知ろうとしています。じっと嗅がせてあげるのが良いのではないでしょうか。
犬にとってのニオイは人間にとっての視覚と同じと言われます。
私達が目隠しをされたらとても不安になるように、犬も嗅ぐべきニオイを十分に嗅げないままリードを引っ張られ、中断させられると不安になるそうです。
新しい場所ならなおさらです。
犬を不安にさせないためにも、散歩では十分に匂いを嗅がせてあげてくださいね。
※詳しくは→犬が嗅ぐのはどんなニオイ? 飼い主は嗅がれているあいだ、じっと待とう
我が家のノーフォークテリア は「散歩だよ」と声をかける前から、雰囲気で察するのでしょうね。
尻尾をぶりぶり振って、「早く行こうよ!」とばかりに玄関に突進していきます。
犬って散歩が大好きです。
その昔、犬の先祖の狼は群れで生活をしており、仲間と一緒に自分たちのテリトリーを偵察して回る日常だったと言われています。
その性質を引き継いだ現代の犬たちにとって、仲間=飼い主と一緒に偵察に行くことはDNAに刻まれた、争い難い欲求なのでしょう。
大好きな飼い主との時間 信頼関係を強める
もちろん、一番の理由は飼い主と一緒の時間を過ごせることでしょう。飼い主とコミュニケーションが取れる瞬間が犬にとっての幸せなのですから。
試しに一緒に歩くだけではなく、途中に名前を呼んで話しかけたり、体を撫でてあげたりしてみてください。それまでにも増して元気いっぱいで歩き始めるはずです。犬にとってはそれが一番嬉しいことなんですね。
外部からの刺激で脳を活性化 社会性も高められる
なにより、現代の犬は室内や庭などの狭い範囲に閉じ込められて過ごします。
散歩の時に外に出られるのを喜ばないわけはありません。
外に行けば室内とは違ったいろいろな匂いがします。いろいろな音がします。他の犬もいます。犬の五感が刺激されるわけです。その刺激が犬の脳を活性化させるそうですよ。気持ちいいと感じているはずです。
また、頻繁に散歩に行き、いろいろな経験を積んだ犬は問題行動が少ないのです。犬の社会性を高める上でも散歩はとても大切なんですね。
広い場所で思い切り走れる
ドッグランや公園などを思い切り走れることも犬にとっては散歩の醍醐味ではないでしょうか。
散歩もずっと歩いているよりも途中でジョギングを入れたりすると、刺激にもなりますし、なにより筋力アップやストレス解消にもなりますよ。
※詳しくは→犬は散歩がなぜ好きなのか?その理由 好きにさせるやり方 犬種別必要な散歩時間
言葉がしゃべれない犬ですが、どうやら必死に飼い主とコミュニケーションを取ろうとしていることわかってもらえましたか?
そんな健気なボディランゲージを片時も見逃さず、濃密な時間を過ごしてくださいね!