ドッグフードの細分化はとどまるところを知りません。
最近は「グルテンフリー」「グレインフリー」「ナチュラルフード」などが新しく出てきました。知っていましたか? それぞれがどう違うのか説明していきましょう。
「グルテンフリー」これは人間の健康法でも言われますよね。
グルテンとは、麦類全般に含まれているタンパク質の一種のことです。
転じて、最近では麦類が入っていないという意味で使われることもあるようですね。
本来はグルテンに対してアレルギーを持つ人のための食事だったのですが、現在ではアレルギーに関係なく、健康的なライフスタイルを望む方が選ぶイメージがありますね。
ただ、アレルギーがない人がグルテンフリーにして良いことがあるのかどうかについては、科学的な根拠があるわけではないそうです。
犬についてもグルテンへのアレルギーはアイリッシュ・セターでしばしばみられます。もちろん、麦類に食物アレルギーを示す他の犬種にもお勧めできますね。
「グレインフリー」とはグレイン=穀物を原材料に使用していないことを指しています。主に肉類で作られているのが特徴ですね。
麦類のみならず複数の穀類にアレルギーがある場合の選択肢になります。ただし、療養食とちがい、一般の市販ペットフードではそこまで厳密でないことが多いようです。
「ナチュラルフード」は化学合成物、着色料、合成酸化防止剤の3つを含んでいないフード。食品添加物が気になる場合に選びやすいものになります。
それぞれこのような経緯で作られたものですが、特に「グレインフリー」についてはちょっと違う捉えられかたがあるみたいですね。
それは犬が野生にいたとき、もともと肉食で、穀物を食べていないのだから、「グレインフリー」のほうが体に良いのだ、とするものです。セールストークでは「肉食動物である犬は脂質とたんぱく質からエネルギーを摂取するため、穀物は消化しにくく腸に負担をかけてしまいます」などがよく書かれています。
たしかに、犬にとって穀類に含まれる炭水化物はそのままでは消化することが難しいのです。でもそれは人間も同じ。だって、米を生のまま食べることはできませんよね。ところが、水を加え圧力をかけて加熱すること(アルファ化)で、食べることができるようになります。
フードの中の穀物類もしっかり加熱調理され炭水化物もアルファ化されていますので、問題なくエネルギーとして消化吸収できるのです。
すると、「犬が野生にいたとき、もともと肉食でうんぬん」というのは、アレルギーのない人間の「グルテンフリー」みたいなもので、いったい科学的な根拠はなんなのか、という話になりますね。
犬が消化を苦手とする炭水化物。そこまでいうならフードに炭水化物を含む食材を使用しなくても良いのでは? と思いますね。
しかし、炭水化物は体内でブドウ糖に変換され、血液や筋肉、骨の生成・維持に重要な役割を果たします。犬は本来、草食動物を食べることで、その胃の中の消化された炭水化物で栄養を補給していました。消化が苦手だからと言って炭水化物の摂取を避けるのでは無く、アルファ化された吸収しやすい形の炭水化物を食べさせてあげましょう。
くりかえしますが、健康な犬がグレインフリーの食事を摂取することについては特にメリットはありません。また、炭水化物源としての穀物を減らすことで、相対的にタンパク質の含有量が増えてしまうと、高齢期の犬猫にとっては内臓に負担がかかることもありますので注意が必要です。
ちょっと怖い話もあります。
米食品医薬品局(FDA)は、マメ科植物の含有量が多いグレインフリーの餌と、イヌ科およびネコ科動物の致死性心疾患である拡張型心筋症(DCM)が関連している可能性があるとの調査結果を発表しました。調査をしたDCMの症例の90%以上で、グレインフリーの餌が与えられていたそうです。
グレインフリーの餌の何がDCMと関連しているかについては、まだ完全には明らかになっていないそうですが、健康にと思って与えていたフードが原因で病気になるなんてとんでもないことですよね。
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アレルギーがあったら、自分一人で判断するのではなく、やはり獣医師に相談して対応を考えていきましょう。
また、科学的根拠に乏しい流行に振り回されないように、しっかり情報を集めることも大切ですね。