犬は触られたり撫でられると喜ぶイメージがあります。
でも犬だって個性がありますから、「今撫でてもらいたい」「今は嫌」「どんな人にでも撫でてもらいたい」「飼い主さんだけにしか撫でられたくない」といろいろですね。
犬はどんなところを触ったり、撫でてもらいたがり、またいつ撫でてほしいと思っているのでしょうか? 毎日の生活のなかで、犬とのスキンシップの参考にしてください。
犬にも触ってほしいところ、撫でてほしいところ、触ってほしくないところがあります。
まず触ってほしい部位は次の部分です。
目の周りは嫌がりますが、眉間は気持ちが良いみたいですね。優しく撫でていると、うとうとしてくることが多いですね。まぶたや目の周りの筋肉をよく使うためにコリやすいようです。表情を見ながら嫌がらなければ、揉みほぐしてあげてください。
いつも人間を見上げているので、首が凝っているそうです。揉みほぐしてあげるととても喜びますね。
しっぽはぐるぐる動きますから凝っているのでしょう。とはいえ自分では触れないので、飼い主に揉みほぐしてもらうと喜びますよ。
耳の後ろは、自分の後ろ足でもよく掻いていますよね。犬は耳をさまざまな方向に向けるため、凝っているようです。優しく揉んでマッサージしてあげてください。
首と同様に、そこに続く背中も凝っているみたいです。頭から首、背中と撫でてあげると気持ちよさに喜びますよね。
あごの下には緊張を和らげるツボがあるんですねー。
ここを撫でられると気持ちいいようで、もっともっと! と際限なくなりますよね。
一方、犬が触られたくない、撫でられたくない場所は・・・
犬が触られたくない場所は、弱点や急所と呼ばれる部分ですね。もし、敵に急所を攻撃されたら致命傷を負ってしまう。だからなるべく触らせないんですね。
とはいえ、トリミングや獣医の診断では、急所も触られることになります。そこで大騒ぎになることを避けるためには、触られることに慣れさせることが必要ですね。
犬は嬉しいことがあると脳内に「オキシトシン」というホルモンが分泌されるそうです。
「オキシトシン」は別名を「幸せホルモン」「癒しホルモン」とか「抱擁ホルモン」と呼ばれていまして、ストレスを抑えたり、自律神経の働きを整えたり、免疫力を高めたり、体の痛みを抑えたりと、さまざまな健康効果があることがわかってきました。
オキシトシン以外にも犬との関係で起こる良いことは?
※あわせて読みたい→「犬を飼うとオキシトシンが!「子供がいるなら犬を飼うべき」もっともな理由」
大好きな飼い主に触ってもらいところを撫でられるのは、やはり嬉しいのでしょうね。
愛犬との絆を深めることができますね。
気持ちの上でリラックスするのはもちろん、撫でることで血行が良くなり、体もリラックスモードになります。
割と大切なのは、犬の体を触ることで、被毛などで見えなかった傷や、痛む場所を発見できることです。犬は痛いと声を出して言いませんからね。チェックのためにも体を触ってあげましょう。体を撫でていて早期発見ということも多いはずです。
犬は視力があまりよくなく、1メーター以内に焦点を合わせられません。
焦点が合わない位置で手などが激しく動くと不安を感じてしまいます。
さらに、犬は上から覆いかぶさられるような人の動きも苦手です。
そこから考えると、人間が正面にいて、立った状態から頭を撫でられることは不得意なんですね。しゃがんで姿勢を低くし、下からゆっくり手を出して、毛並みにそって優しく撫でてあげると安心のようです。
犬が尻尾を振っているとつい喜んでくれているのかな? と思い撫でてあげようとしますよね。でも決めつけるのは危険です。
犬は興奮しているときに尻尾を振るので、嬉しいときだけでなく、警戒して興奮しているときにも尻尾を振ります。
他人の犬がしっぽを振っているからといってむやみに体を触ろうとしてはだめですよ。がぶりとやられてしまうかもしれません。しっぽを振っているときの感情の読み取り方のコツは「しっぽの高さ・振るスピード」なのです。
他の犬たちに自分の優位性を伝えようとする場合、しっぽは高く上がります。
犬の祖先である狼が集団で狩りを行うときに、後続の狼はリーダーとピンと高く上がったしっぽを目印にしていたそうです。
その名残から、他の犬より自分のほうが上だ!と主張する場合にしっぽを高く上げるようです。
群れで暮らす犬にとってリーダーであることはとても嬉しいことです。その気持が転じて嬉しいときや楽しいときにもしっぽは高く上がるようですね。
まあ、見るからに、なのですが、犬がしっぽを低い位置に下げているのは、ネガティブな感情のときです。怖かったり、不安だったりするときです。
両足の間にしっぽを挟んでいるのはその極地の状態だと考えましょう。
びくびく怖がっているからと甘く見ていると、恐怖のあまり反撃に出る犬もいますから気をつけてくださいね。
何かが遠くから近づいてきた、とか見たこともない場所だ、など警戒態勢のときや、興味関心を持ったときにしっぽは水平に置かれるようです。
※くわしくは「犬とコミュニケーション ボディランゲージを見逃さない さまざまな意味を知ろう」
触られる、撫でられるのは、その犬、個別の状況によりますけれど、犬種ごとに傾向もあるようです。
「愛玩犬」として品種改良されてきた歴史が長い犬種は、人間のそばにいること、体を触られることが好きなようです。
トイ・プードル、ヨークシャーテリア、マルチーズなどが代表でしょうか。
また、使役犬として身体能力を重視されて改良されてきた犬種は撫でられるよりも飼い主の用事を達成するなどに喜びを感じるようです。ビーグルやシェパードがそうですね。
一方、まだ野生に近く、警戒心が強い犬種は、人から触れられることがあまり好きではない傾向があるようですね。ハスキーや秋田犬などがそうです。
信頼関係があって、撫でてほしい場所であっても、食事しているときは嫌がります。
餌を取られてしまうと感じるようですね。
あまりしつこくされるのが苦手という犬もいるでしょうね。
つまり愛犬といっても、「撫でてほしいとき以外は撫でてほしくない」のですね。
犬が撫でてほしいときをしっかり見極めてください。
犬が飼い主に寄ってきたとき、飼い主さんと離れていたときに撫でてもらいたい気分になっているようですよ。とくに留守番のあとなどは撫でてあげてくださいね。
食事をしていたり、眠っているときは撫でられるのを嫌がります。
与えられた食べ物を守ろうとして早食いしたり、リラックスできなかったりするため、放っておいてあげましょう。
あわせて読みたい 犬が好む人ってどんなタイプ? 嫌いな人はどんなタイプ?
なんらか、犬にコマンドを与えて、うまくできたときにも撫でてあげましょう。
おすすめは顎の下からお腹に向かってゆっくり撫でてあげること。
せわしなくなですぎると、犬は興奮してしまいます。
ほめる言葉と一緒に、落ち着いてなでてあげてましょう。
もちろん、それ以外でも犬が喜ぶポイントがあればなでてあげてください。
耳の後ろや眉間、首から肩にかけて、腰から尻尾の付け根あたりなどが大好きな犬は多いです。そのようなところを毛並みに沿って撫でてあげてください。
※くわしくは「子犬のご褒美は「おやつ」「いい子」「なでる」の3つの「ほめ」をうまく使おう!」
毎日散歩をしていると、初めて会った人からコミュニケーションを求められるときがありますよね。愛犬の世界も広がるので基本的に歓迎ですが、なかにはあまり犬に慣れていない人や、こどももいます。
不慮の事故や、気まずい思いをしないように注意すべきポイントがあります。
犬もいつも上機嫌なわけではありません。ふだんなら吠えないものに吠えてしまったり、その日はなぜか落ち着かなかったり、なんて日もありますよね。
その日が初めての人とコミュニケーションを取るのに絶好の日なのか、犬の様子を把握しておきましょう。
散歩していると、子供などが突然犬を触ろうとすることも多いですね。
子供がニガテ、という犬も多いし、なにより突然のことに驚いて犬が警戒態勢に入り、威嚇を始めるかもしれません。
飼い主が先を予測して道を変えたり、距離を取るなどコントロールをしてあげてください。
犬が恐怖心や不安感を抱かせないように、あなたから以下のように触り方を教えてあげられると良いですね。
・手の甲のにおいをかがせる
体を撫でる前にあなたの手の甲の匂いをかがせてください。
手の差し出し方はゆっくりと。
素早く手を動かしてしまうと怯えたり、警戒してしまうようです。
・撫でる箇所は見える所から
頭の上から手を近づけるのはNG。犬が警戒してしまいます。
まずは胸や身体の側面から触ってあげましょう。
胸は下から、側面は横から手を伸ばして優しく撫でてくださいね。
愛玩犬として品種改良を受けてきたトイプードルやヨークシャテリア、マルチーズなどと、オオカミに近いハスキーや秋田犬、柴犬などでは接し方が違って当たり前ですよね。
当然トイプードルやヨークシャテリア、マルチーズは人間に撫でられることが好きですし、オオカミに近い犬種は人から触られることをあまり好まないようです。