犬がしっぽを振っているのは可愛いですよね。
おお、そんなに喜んでくれているのか! とこちらも嬉しくなります。
そう、私達は犬がしっぽを振っていると「喜んでいる」と思っていますが、じつはちょっと違うようですよ。しっぽの役割から感情の表現までを知っておきましょう。
最近は少なくなっているとはいえ、断尾をする犬種がいます。うちのノーフォークテリアもすでに断尾された状態が初対面でした。
断尾してもいいならしっぽってあまり必要ないのかな? と思いますが、犬にとってしっぽはとても大切な部分なんですね。
しっぽは犬が走るときに下半身のバランスをとってくれるおもりの役割があります。しっぽによってバランスを取り、転倒を防ぐのです。
また、冬場に犬を見ていると丸まっていますよね。その時にしっぽで体をくるむ様子が見られると思います。(短いしっぽでは難しいですけど)これはしっぽで鼻先を保護して、冷たい空気を吸い込まないマスクのような働きをしているようですね。
そしてもちろん、相手に感情や意思を伝えるために使われるパーツでもあります。人間相手にブンブン振っているだけではなく、犬同士のコミュニケーションでも活躍しているのがしっぽなのです。
まず基本的に犬がしっぽを振るのは「興奮している」からであって、「よろこんでいる」かどうかは状況によるのです。
他人の犬がしっぽを振っているからといってむやみに体を触ろうとしてはだめですよ。がぶりとやられてしまうかもしれません。しっぽを振っているときの感情の読み取り方のコツは「しっぽの高さ・振るスピード」なのです。
他の犬たちに自分の優位性を伝えようとする場合、しっぽは高く上がります。
犬の祖先である狼が集団で狩りを行うときに、後続の狼はリーダーとピンと高く上がったしっぽを目印にしていたそうです。
その名残から、他の犬より自分のほうが上だ!と主張する場合にしっぽを高く上げるようです。
群れで暮らす犬にとってリーダーであることはとても嬉しいことです。その気持が転じて嬉しいときや楽しいときにもしっぽは高く上がるようですね。
アニメーションの「ガンバの冒険」の主題歌で「しっぽをたてろ ホホホ ホホホ あほうどりがついていく」という歌詞があるのですが、自分と仲間をもりあげているんですね。劇中にも「しっぽを立てろ!」のセリフがやたらにありますが、意味がわかりましたよ。
人間とおなじ哺乳類の犬ですが、体の名称や、機能は随分違うのです。獣医に行く場合などにも話しがわかりやすくなりますよね。1. 体の部位と名称2. 犬の目から世界はどう見えているのかな?犬はピンぼけの世界を見ている人間に比べて様々な優れた身体能力を持つ犬ですが、視力は悪いのです。0.3暗い。人間の場合であれば裸眼で普通免許は取れません。なぜか? 人間は目が正面を向いていますね。だから焦点を合わせやすい。でも犬は目が人間と比べると外側にあり、正面に焦点をあわせにくいのです。この配置になっているのはもちろん狩... 犬の部位の名称や、特徴 犬の目や唾液、しっぽ、肉球の機能について知りたい! - 子犬の記念日 |
まあ、見るからに、なのですが、犬がしっぽを低い位置に下げているのは、ネガティブな感情のときです。怖かったり、不安だったりするときですね。
両足の間にしっぽを挟んでいるのはその極地の状態だと考えましょう。
びくびく怖がっているからと甘く見ていると、恐怖のあまり反撃に出る犬もいますから気をつけてくださいね。
何かが遠くから近づいてきた、とか見たこともない場所だ、など警戒態勢のときや、興味関心を持ったときにしっぽは水平に置かれるようです。
スピードが早いと「激しい気持ち」、ゆっくり振っているのは「穏やかな気持ち」と捉えられるみたいです。まあ見たとおりですかね。
「犬が西向きゃ尾は東」ではなくて、右か左か? です。
ある研究によると犬が喜びや親しみなどポジティブな感情のときは体の右側でしっぽを振り、不安や恐怖などネガティブな感情のときには左側でしっぽを振る傾向があるそうです。
理由は、これは人間も同じですが、脳は左右に分かれていて、左脳はポジティブな感情、右脳はネガティブな感情とかかわっているとされて、左脳は体の右側に、右脳は左側に作用するからなんですね。これは「へー」ですよねー。
犬がしゃべれたらなあ。犬好きなら誰でもこう思うものですね。お互いに言葉が通じなくてもあれだけ心が通い合うのだから、犬が人の言葉をしゃべれたらさぞかし・・と考えてしまいます。でも実は犬の方はあなたとコミュニケーションを取ろうとしているのかも。愛犬のボディランゲージを見逃さないでくださいね。まず何より大切なのは、犬は群れ社会の動物だってこと。そして群れには上下関係があり、リーダーは仲間から信頼させる存在でなければいけないのです。人間社会にいる犬も同じです。リーダーにはつねに厳格な態度と、同時に信... 犬とコミュニケーション ボディランゲージを見逃さない さまざまな意味を知ろう - 子犬の記念日 |
中世のヨーロッパでは断尾することで狂犬病を予防したり、筋力を強めたりできるといった迷信が信じられていました。更にイギリスでは「しっぽのある犬に課税」されていた時期があり、節税目的で断尾されたようですね。
もちろん、この税は1796年に廃止されましたが、断尾の習慣は残ったようですね。
現在の断尾の理由として圧倒的に多いのは美容目的のものです。
それぞれの犬種には標準的なスタイルがあり、その犬の理想的な姿の基準があります。犬にとっては迷惑きわまりますが、その基準に合わせて断尾が行われています。
断尾が標準スタイルになっている犬種は非常に多く、
エアデールテリア(Airedale Terrier)アメリカンコッカースパニエル(American Cocker Spaniel)
シルキーテリア(Australian Silky)
オーストラリアンシェパード(Australian Shepherd)
オーストラリアンテリア(Australian Terrier)
ブービエデフランダース(Bouvier des Flandres)
ボクサー(Boxer)
ブラッコイタリアーノ(Bracco Italiano)
ブリタニー(Brittany)
クランバースパニエル(Clumber Spaniel)
コッカースパニエル(Cocker Spaniel)
ドーベルマン(Dobermann)
イングリッシュスプリンガースパニエル(English Springer Spaniel)
フィールドスパニエル(Field Spaniel)
ジャーマンショートヘアードポインター(German short-haired pointer)
ジャーマンワイアーヘアードポインター(German wire-haired pointer)
ジャイアントシュナウザー(Giant Schnauzer)
ブリュッセルグリフォン(Griffon Bruxellois)
ハンガリアンビズラ(Hungarian vizsla)
アイリッシュテリア(Irish Terrier)
ジャックラッセルテリア(Jack Russell Terrier)
ケリーブルーテリア(Kerry Blue Terrier)
キングチャールズスパニエル(King Charles Spaniel)
レイクランドテリア(Lakeland Terrier)
ミニチュアピンシャー(Miniature Pinscher)
ミニチュアプードル(Miniature Poodle)
ミニチュアシュナウザー(Miniature Schnauzer)
ナポリタンマスティフ(Neopolitan mastiff)
ノーフォークテリア(Norfolk Terrier)
ノーリッチテリア(Norwich Terrier)
オールドイングリッシュシープドッグ(Old English Sheepdog)
パーソンジャックラッセルテリア(Parson Jack Russell Terrier)
ウェルシュコーギーペンブローク(Pembroke Welsh Corgi)
ピンシャー(Pinscher)
ロットワイラー(Rottweiler)
ロシアンブラックテリア(Russian Black Terrier)
スキッパーキ(Schipperke)
スタンダードシュナウザー(Schnauzer)
シーリハムテリア(Sealyham Terrier)
スムースフォックステリア(Smooth Fox Terrier)
ソフトコーテドウィートンテリア(Soft-coated Wheaten Terrier)
スパニッシュウォータードッグ(Spanish Water Dog)
スタンダードプードル(Standard Poodle)
サセックススパニエル(Sussex Spaniel)
トイプードル(Toy Poodle)
ワイマラナー(Weimaraner)
ウェルシュスプリンガースパニエル(Welsh Springer Spaniel)
ウェルシュテリア(Welsh Terrier)
ワイアヘアードフォックステリア(Wire-haired Fox Terrier)
ヨークシャーテリア(Yorkshire Terrier)
※出典「子犬のへや」
となっています。
もう一つは予防医学的見地から断尾される場合です。
犬の使用目的によって、しっぽがないほうが、怪我や病気を避けることができるとしている場合です。
茂みやヤブを駆け回る猟犬はしっぽに擦り傷を作りやすく、そこからなにかに感染するなどの危険性を避けるために断尾をする場合があります。
牧羊犬は、自分より数倍も体の大きい家畜にしっぽを踏まれて怪我をすることを避けるために断尾をする場合もあるそうです。
たしかに、実際に猟犬や牧羊犬に用いる犬を断尾するのであれば理屈は通るかもしれませんが、同じ犬種が家庭でペットとして飼われる場合も断尾してしまうのは、ちょっと解せませんね。
ひとくちに犬のしっぽといっても、実にたくさんの種類がありますよね。
その名称と代表的な犬種を紹介すると・・・
下に垂れ下がっているしっぽ。
シベリアン・ハスキー セントバーナード
長い羽状の飾り毛が垂れ下がっているしっぽ。
ゴールデンレトリバー ポメラニアン
お尻から垂直に立ち上がったしっぽ。
ジャーマン・シェパード
緩やかに曲線を描いた鎌の刃のような形のしっぽ。
チワワ
低めに背側に湾曲を描いて伸びているしっぽ。
四国犬
リスのしっぽのようにフサフサした毛に覆われていて、背中に背負っているような状態のしっぽのこと。
パピヨン
背中の上に向かって巻かれたしっぽ。尾の巻き方によって、一重巻きと二重巻きに分類される。
柴犬、秋田犬
円を描くようにカーブしているしっぽ。
アフガンハウンド
短く、らせん状に巻いているしっぽ。
ブルドック ボストンテリア
生まれつきしっぽがなかったり、断尾して短くしたしっぽ。
イングリッシュ・シープドッグ コーギー
根本から曲がっているしっぽ。
フレンチ・ブルドッグ
背中と同じくらいの高さにまっすぐ伸びてムチのようなしっぽ。
イングリッシュ・セター
根本は太く先端は毛がない、細くてネズミのしっぽのような形のしっぽ。
アイリッシュ・ウォーター・スパニエル
カワウソのように根本が太くて丸く先端にいくにつれて細くなっている形のしっぽ。
ラブラドールレトリバー
あんなに頻繁に振っていた尾を振らなくなったということは、脱臼や骨折をしている場合があります。気になるようであればしっぽを触ってみましょう。触られることを嫌がったり、痛がったりするのであれば、怪我をしているかもしれません。獣医に連れて行ってください。
しっぽは犬の魅力の大きな部分を占めていますよね。
しっぽのことを理解して少しでも犬の気持ちがわかるようになりたいですね!